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累 かさねのxyzのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
4.4
美しさという外見と
演技力という内面と

果たしてどちらが
その人の本質なのであろうか

どちらに私たちは他人を見るのだろうか

顔だけ入れ替わったら
それはその人ではなくなるのだろうか
偽物、なんだろうか

では、他人との関わりで
内面を、
私たちはそんなにも見てるのだろうか
きっとそんなことない

他人への劣等感と美しさへの羨望
それは誰もが
少なからず抱えているものだろう

愛しすぎるゆえに
ヨカナーンの生首を欲し、抱きしめるサロメ

そこまでして抱きしめたかったもの
手にいれたかったもの
それを手にいれるのは
果たしてそんなにも罪なことなのだろうか?

ニナと累の関係を
サロメにのせて描いているのが
大変秀逸であった


私たちは、
私たち以外の誰にもなることはできない
自分自身が存在する限り
誰も、他の誰かになることはできない

それを唯一、覆せる場所
それが舞台である
演じるという行為である

他の誰かになりたいという欲望を
人一倍持っている累
その演技力はあきらかに天才的である
コンプレックスである顔をニナに借り、
舞台に立つ、生きる喜びを知る

しかし累がみてほしいのは
内に宿る累自身なのだ



私たちは
私たちでしかない
私たちを生きるしかない

結局、外見も内面もその人でしかない


ラストシーン、
私はニナを見ていたのか
累を見ていたのか
それが分からなくなった




「見えていることがすべて」のこの世の中で
私たちはいったい何を見ているのだろう
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