福福吉吉

祈りの幕が下りる時の福福吉吉のレビュー・感想・評価

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)
4.0
東京のアパートで女性の腐乱死体が発見される。被害者は滋賀県在住で、発見されたアパートの住人も行方不明で、繋がりが見つからなかった。やがて、舞台演出家の浅井博美が容疑者として上がるも彼女にはアリバイがあった。松宮刑事は現場の遺留品から日本橋の12の橋の名を書いたカレンダーを見つける。それは加賀恭一郎の失踪した母、田島百合子の遺品のカレンダーにも同様の橋の名の記入があり、現場の遺留品と筆跡が同じであった。加賀は失踪した母の過去を知るため、事件の真相に迫っていく。

ストーリーは、加賀恭一郎(阿部寛)と松宮脩平(溝端淳平)がそれぞれ分かれて捜査し、情報交換する展開になっており、事件の被害者の特定が困難を極める部分をより深く描いており、「お前は誰なんだ」という疑問を二人の刑事と共に観ている側に感じさせるようになっており、とても良く出来た構成になっています。

本作では加賀恭一郎の過去に深く切り込んでおり、これまでの「新参者」シリーズの中でも特別なストーリーになっていて、劇場版にふさわしい内容でした。加賀が失踪した母のことを深く思っていたことが伝わってくる物語でした。

そして、キー・パーソンとなる浅井博美(松嶋菜々子)の演技がとてつもなく素晴らしく、普段はポーカーフェイスだが、ある場面で見せる憎しみの表情と悲しみの表情は心に突き刺さるものがありました。

ネタバレになるので多くは言えませんが、これほど切なく悲しい殺害シーンは観たことありませんでした。

加賀恭一郎の物語の集大成ともいえる作品になっており、とても良かったと思います。
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