ふらっとあーす

アトラクション -制圧-のふらっとあーすのレビュー・感想・評価

アトラクション -制圧-(2017年製作の映画)
2.7
CG、宇宙船、パワードスーツ的なデザインは美しいが、脚本に不満が残る作品。

終始、反抗期真っ盛りの高校生の少女にイライラが溜まる。
彼女の親、社会、人々に対する鬱憤やフラストレーションは理解できる。理解できるが、なぜ感情移入ができないかというと理由は2つ。

1つ目は、主人公に感情移入ができず、観客との感情に乖離が生じているせい
2つ目は、始まりから終わりまで終始自己中心的なせい

1つ目は、主人公である彼女は終始物語を引っかき回します。
この作品が中途半端な部分は、父親などの軍にもフォーカスをあてすぎた点です。規律や法、ルールを重んじる軍隊と、それを無視して好き勝手な行動をする彼女。
彼女の視点を中心に映していれば、彼女のルールを守らない行動にも観客は一定の理解を示しますが、世情と彼女の行動を板挟みに映したことで、たいした彼女のバックグラウンドを知らず、理解もしていない観客からすると、彼女はルールを違反する反抗期の少女にしか映りません。

そうした、親に真剣に向き合って貰えず職業を優先される肉親に、後回しにされる少女のフラストレーションを観客にも理解させたいという作り手側の気持ちはわかりますが、感情移入させる塩梅やバックグラウンドの掘り下げが甘かったためにイライラが溜まった作品になったと感じました。

2つ目の理由は、彼女の自己中心的な行動が最後まで改まらず、それに対して後悔をする描写がなかったことです。

彼女は宇宙人との時間を過ごすごとに恋をしていきますが彼女には彼氏がいます。

浮気をしたことを反省するときは、好きな人ができたと電話越しで伝える描写のみ。
その後、彼女の浮気に起こった彼氏は主人公の邪魔をしていくようになります。
結局のところ、この作品の着地点は彼氏によって宇宙人も傷を負わされ、一応宇宙人は地球から帰る。彼氏は軍に捉えられ、彼女はのうのうと空を見上げて、さも大事が終わったとばかりにスタッフロール。

現在の環境問題や社会的問題に対して掘り下げた点など考えさせられる部分はありましたが、感情移入はできない作品でした。
非常に残念。