あの時の選択によってその後の人生がどう変わるかを描く並行世界もの。最近マルチバース作品が多いので、途中退屈だなと思っていたら、ラスト付近に実は9歳の少年ニモが選べなかった選択によってその後の人物や人生が作られていたと語られる。あの時の選択に正しい・間違えはないと言うメッセージと、選択できなかったことによって生まれた可能性のある世界を同時に見せている。バタフライエフェクトのような奇跡が積み重なっての今であるということを前提にしつつ、少年時代の強烈な思いがその後の人生を形作るのがみずみずしく痛々しい。音楽が良かったし、たまにウェス・アンダーソンばりの統率された構図や、逆に真横の酔うような絵などバラエティに富んだ表現方法も面白かった。
