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ミスター・ノーバディのEDDIEのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
4.4
“愛”をテーマに並行する世界線で描かれる様々な人生の歩み。9歳、15歳、34歳と人生の選択を迫られるあらゆる分岐点を複雑なようで丁寧に描写。幾重にも重なる人生を夢想する豊かな想像力を楽しむ良作。

なんだか凄い映画に出会った気がします。SFって分類もされているけど、とても哲学的というか、だけど決して鑑賞者を置いてけぼりにするわけじゃない、とても丁寧な脚本が好印象でした。

2092年の未来、人類はなんと科学の進歩により永遠の命を授かります。老衰により死んでしまう人類最後の男ニモ。118歳にもなる彼のインタビューで、ニモは少年時代から回想をしていくという冒頭の流れ。
いきなり人類不変のテーマである“不死”についての描写があり、そんな彼がどんな人生を送ったのかを追っかけていく物語なんですが、事はそう単純ではありません。

9歳のニモ・ノーバディは両親の離婚をきっかけにどちらについていくかという分岐点に立たされます。
ここから本格的に本作のパラレルワールドラブストーリーが始まるわけですね!

列車で去る母親を追いかけ、大好きな母と送る人生。母を追いかけるが追いつかなかった父と過ごす人生。そこからもあらゆる分岐点が現れ、我々はたくさんのニモの人生を追体験していきます。

そこで登場するのが3人の少女。アンナ、エリース、ジーンとニモが愛する女性たちが人生の選択によって代わる代わる展開を変化させていきます。
パラレルワールドの世界をある程度理解している人にはかなり楽しめる作品なんじゃないでしょうか。
大人のアンナ役であるダイアン・クルーガーが最高に美しいですし、15歳のジュノー・テンプルも可愛らしい子です。
まぁアジア系のジーンの扱いがちょっと可哀想でもありますが、個人的には彼女とのエピソードが結構刺さりました。

そして、あらゆる世界線の異なる人物(同一人物ではあるけど雰囲気が全部違う)ニモを演じたジャレッド・レトの演技力の高さは見ものです。
同一人物なので根本的な設定は同じなんですけど、雰囲気が全く異なるのでその演じ分けには要注目。

映像もかなり美しいため、芸術的目線でも楽しめるし、この作品はかなりレベルが高いと感じました。

もう一回噛みしめながら観たい。そしたら一層スコアも上がるかもしれません。
とても好きな作品!

それにしても15歳ニモを演じていたトビー・レグボが中川大志くんにソックリな気がしたのは私だけでしょうか?

※2020年自宅鑑賞211本目
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