ヤマタノオロチ

ドクター・ドリトルのヤマタノオロチのレビュー・感想・評価

ドクター・ドリトル(2020年製作の映画)
2.3
吹替で良くなるパターンの映画、やっぱり日本の声優は凄い


エディ・マーフィ版(以下エディ版)とは違い、本作品は原作の児童文学と同じ設定です。観終わってみると何故エディ版が現代(90年代後半)のアメリカにしたのか何となく理解できました。

【脚本】
冒頭の数分で「これまでのお話」的な説明はありますが、情報量の多い絵が続くので状況がよく分からないまま観ることになります。確かに子供ならそのまま受け入れるでしょうが、大人から観たらツッコミが満載です。「ファンタジー冒険活劇なので細かい所は気にするな」って感じなのでしょうが、大逆転劇もなくドリトルが矛盾にも目もくれずただただ冒険を進める。原作を忠実にしたが故にチープなストーリーになっています。海外でストーリーが酷評された理由はそういう点でしょう。

また、コメディチックなエディ版に比べ、今作はいたって真面目。動物がただの俳優の代わりなっただけになってしまっている。動物視点ならそれでも良いかも知れませんが、物語の主軸は人間視点なので何とも微妙な出来です。

【CG・演技等】
ダウニーJrの演技は悪くなかったですが、ホームズを引きずってる感が否めません。ドリトルが「バリツを使わないホームズ」に見え既視感がありました。

動物のCGはリアルなんだけど違和感を感じました。特に実写の人間との絡みでは違和感が顕著に現れます。「動物」というより「金のかかったCGアニメーション」に見え、動きも表情も何となく不自然。その性か、英語版の声との相性も良くないように思えます。エディ版やベイブの方がまだ不自然さは無いです。ライオンキングの様に全編CGアニメーションで統一すれば違和感も抑えられたかも知れません。



【総評】
ストーリーはチープ、CGと実写の相性は良くない、英語版声優陣はネームバリュー優先で俳優がアテレコ。観てて退屈でした。英語圏のアニメ声優を起用していればまだマシだったかも。

というのが字幕版のお話・・・


【吹替版】
アニメ好きの方はこっちの方をお薦めします。
声の演技力が格段に上がるので、CGアニメーションっぽい動物に見事にマッチします。非声優も居ましたが、霜降り明星も違和感が少なかったです。(ただし、石田ゆり子のオウムは浮いてた)
藤原啓治さんの演技もさることながら、小野大輔さんの声とゴリラの演技がハマっており、コミカルなキャラが確立されていたと思います。
声優陣が豪華なのもあり「実写映画」と言うより「アニメ」を観てる感覚に近かったです。配役が良かったのでしょう、某シャザムとは真逆の結果です。吹替だけならスコア4あげてもいいぐらいの出来栄えです。

藤原啓治さんの演技が良かっただけに、もっと良い作品を遺作にしてもらいたかったのが本音です。


英語版で駄目だった方は、吹替版で見直すと本作の印象が変わるかも知れません。
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