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クワイエット・プレイスの徳川のレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.5
!足に釘が刺さるシーンがあります!
開始45分頃から、約1分ほど該当の描写があります。私は40分にタイマーをかけ慎重に再生しました。産気づいた母親が地下室への扉を開けたら音声オフし、手で隠しながら画面右上で進捗を確認していました。
足に釘が刺さる→痛がる→釘を引っこ抜くという三段階の描写があるので、46分を過ぎるまで画面から目を背けるのが吉と思います。刺さるシーンはその1回のみで、以降釘の存在は現れません。

以下感想=========
釘が刺さるだろうな…と連想させるシーンがあったため泣く泣く途中で視聴を断念したのですが、親切な方にコメントで該当シーンの時間をご教授頂き、無事見終えることが出来ました。ありがとうございます。

ある日突然現れた、視力がない代わりに聴覚が発達した獰猛なクリーチャーから息を殺し、ひっそりと暮らす一家の物語です。
恐らく家族を失った悲しみからもう一人命を授かろうとしたのでしょうが、屋外でのオモチャの音にすら反応するクリーチャーがいるこの限界生活で、よく出産を試みようとしたな…と感心しました。実際に出産が危機を招きますし、出産時の音は水音でかき消せるとしても、言語で統括出来ない新生児をどのように育てるつもりなのでしょう。常に水の隣で生活する? しかしそれは可能なのだろうか…と、リアリティがあるからこそ疑念を抱く余地もあるように思います。
この状況であれば、母親がそうしたように、わざと音の発生するものを複数用意していつでも陽動が可能なように所持しそうなものですが、陽動はほぼ行いません。資材が少ないのかなと思う反面、色々揃っている雰囲気もあるので少しちぐはぐさを感じます。

とはいえ、そうした疑問を補ってもあまりある迫真の演技です。ご両親役も去ることながら、子役の演技にも目を奪われます。モブの爺さんですら演技力100%中の100%──‼︎という感じです。音で演出が出来ない分、視線や筋肉の震えによる表現が秀逸だと感じました。映画自体が中盤までほとんど無音と呼べるほど静かな作品ですので、見ているこっちも釣られてそーっとコップを置いたりしました笑
(これは余談ですが、音で苦しむクリーチャーの姿が、聴覚過敏によって生活音で発狂する自分にそっくりで面白かったです笑)

この作品は決してただのホラー映画ではなく、深い痛みとともに心に残り続ける家族愛の話だと思いました。
でも釘のシーンはいりません。
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