まーしー

クワイエット・プレイスのまーしーのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
3.5
音を立てたら謎の生物に襲われる。そして、その状況下で出産する。
——このアイデアはおもしろいと思う。
ただし、予告編で強調されている出産シーンがメインに描かれているわけではない。未確認生物が襲ってくるスリルや、退廃的な世界での家族愛も描かれている。
恐怖心と感動が押し寄せるという、感情の振れ幅が大きい作品。

タイトルの通り、舞台となるのは「静かな世界」。
しかし、本作の演出はうまい。
長女がろうあ者で、家族は手話で会話するという設定。そのため、この家族が「静かな世界」で会話できることに違和感がない。
不穏なBGMが流れるため、音のない世界でもサイレント映画の様相はないし、音に敏感なことを強調した未確認生物のヴィジュアルも悪くない。
そして、ふとしたことから発生するトラブルの数々。
全然、退屈な内容ではなかった。

父親役のジョン・クランスキーと母親役のエミリー・ブラントは、プライベートでも実際の夫婦らしい。
表情を中心とした演技だけで恐怖感が伝わってくる二人の演技は素晴らしいと感じた。

90分程度で未知の世界を十分に味わえる本作は、アイデア、演出ともに優れた良作だろう。
続編も楽しみ。

(初鑑賞)2019.6.7.
(再鑑賞)2022.3.12.