デニロ

四月の永い夢のデニロのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
2.0
或る日を境に朝倉あきが気になって追いかける。事の始まりは何だったのか分からない。映画に舞台に歩くのです。それが2、3年前なので調べるとあれもこれも観ていたなんてことがある。で、本作はカバーされていなかったので。

毒にも薬にもならなぬようなひとり患いの如き物語。誰にでもそんなことはあると思えば観客も自らに重ね合わせてイラついてしまうのではあるまいか。

まあよい。

朝倉あきがアルバイトしている蕎麦屋が閉店してしまうのを観て、ここ数年勤務先近くの蕎麦屋が続々と閉店している事を思う。主人の高齢化もあるが、老人の負託を受けて店を継ごうという者がいないからだ。以前は毎日違う蕎麦屋に通えたものだが今や間に中華や洋食を入れなければならない。蕎麦屋の居心地の良さに思考停止していた朝倉あきの気持ちも分かろうというものだ。何かを失いながら自分の中に何かを宿す。別れた恋人からの「忘れて下さい」の手紙を卑怯と感じ、その後で命を絶ってしまった恋人にその返事を書けなかった後悔。生きているうちは喪失も後悔もない交ぜなのだ。

ラストの食堂のシーンでこころが動き始めた朝倉あきの笑顔が素敵です。

2017年製作。2018年公開。脚本監督中川龍太郎 。
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