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四月の永い夢のleylaのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.9
付き合っていた彼氏は3年前に亡くなっている。喪失感を抱えたまま生きる初海(はつみ)が、再生に向かうまでを見守る物語。

癒えない別れの哀しみや後悔など、心の機微を、繊細に、丁寧に描いています。

主役の初海役の朝倉あきさんは、透明感があり、今どきこんなにしとやかな若い女性っているんだ、と感心するほど。歩く姿を全身で捉えるカットが多いのですが、か弱さがあり美しいんです。そして、ラストの表情が反則級。

ビルの屋上から見る花火、田舎の風景、桜、浴衣、手ぬぐい、銭湯、ラジオ…現代の話なのに昭和のノスタルジーが優しい。嫌な人が出て来ないのもいいです。

“赤い靴”の曲「書を持ち僕は旅に出る」の効果的な使われ方にグッときました。

『静かな雨』でも思ったけど、監督そのものが作品内に浮遊している感じがします。

こんなにロマンチックな描き方は、かなりくすぐったいのだけど、とても心地がいい。余韻が大好物な私にはたまらない作品でした。
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