うめ

四月の永い夢のうめのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
3.7
実に細部にまで神経が行き届いている作品。脚本と朝倉あきが抜群にいい。
喪失感から抜け出せない人がどう再生すればいいのか。
多くの人がこのテーマに取り組んでいるがなかなかしっくり来る答えがない。それはおそらく喪失感と再生には無数のパターンがあり、最大公約数的な答えを導き出すのは困難で、雄弁に語れば語るほど胡散臭く感じてしまうからかもしれない。
ところが、この映画はその難問に対し1つの到達点にいる。
前へ進むということ。
人は自分で選択しているようでいてその大半は押し出されるようにして仕方なくその方向に進む。この映画はそのことを慎重に注意深く丁寧に伝えている。そして自然な流れで主人公は前へほんのすこしだけ進む。何かを伝えるというよりじんわり浸透させる手法。安易にわかったようなことは言わない無口なこの秀作に救いを感じる人は多いのではないだろうか。
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