ブタブタ

四月の永い夢のブタブタのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
4.0
赤い靴の「書を持ち僕は旅に出る」が流れて初海(朝倉あき)がずーっと横スクロールの画面を歩いていくのは矢張り『汚れた血』のアレックスが「モダン・ラブ」にのって疾走するあのシーンを思い出してしまう。
急に始まり急に終わるところも。

(元)恋人の死による喪失感から再び自分の人生を歩みだす迄を描く、ある一人の女性の話し…て余り自分は見ない種類の映画なので、朝倉あきさんの透明な存在感とか雰囲気とか美しさとかそういうのがメインで、周りでわりと激しく人物が入れ替わり立ち代りして行くのも、その中心にいる初海は台風の目みたいに無風状態というか、ただ流れていく季節や時間というものが初海を癒し、次のステップへと背中を押す、その為だけに存在してるような。

なので始まりと終わりが春と夏で見事な円環を描いているのも初海の心というか内面の変化が、あの序と結で見事に描かれていたな、と思うのでした。
監督は詩人でもあるそうで、ストーリーよりもやっぱり叙情的というか、花火や手拭い工場のシーンが初海の心情を表す為の映像になっていて、話的には別に破綻してたり不条理な事とか起きなくても何処か幻想的ですべてが初海の夢の様にも見えるのでした。

次作『わたしは光をにぎっている』は酷評と絶賛の差が激しくて、結局見に行けなかったので早く見たいです。
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