アキラ

ブレス しあわせの呼吸のアキラのレビュー・感想・評価

ブレス しあわせの呼吸(2017年製作の映画)
3.9
"Your life is my life..."
(あなたの命はわたしの命なの。。)
——劇中よりダイアナのセリフ——


スターウォーズ、猿の惑星 で有名な
アンディサーキス 監督デビュー作品、
「ブレスしあわせの呼吸」

ポリオに感染し、突然全身不随になり、
人工呼吸器と共に寝たきりになった男と
それを支える妻、2人の生き様について
描いた作品。

◾︎ストーリー/時代背景
1958年、新婚のロビンがポリオ(急性灰白髄炎)
に罹り、突然の全身不随となってしまう。
ダイアナという運命の人とも出会い、
順風満帆にみえた人生は、
突如として、真っ暗となる。

ポリオは、感染症ということもあり、
鬱屈とした病院の中に閉じ込められ、
人工呼吸器と寝たきりの生活を強いられる。
ロビンは絶望に苛まれ、余命も数ヶ月の中、
生きる希望を無くしていた。

そんな中、献身的な愛を捧ぐ妻のダイアナ。
息子のジョナサンは、生まれたばかりなのに、
ロビンは、見もしない。
生きる希望を与えるため、彼の願いである
病院を出るという選択肢をとり、
彼の人生は大きく変わることになった、
実話に基づくイギリスの伝記映画。
息子のジョナサンが制作プロデュース。

◾︎愛に溢れたやさしい実話
全身不随となったあと、ロビンは、
ただ、ひたすらに死にたいと願う。
それは、ただ絶望しただけでなく、
妻のダイアナを想ってのことだ。
まだ25歳の妻が、全身不随の世話をする一生に付き合わせるのが耐えられなかったから。
一方ダイアナは、ロビンから逃げる、
という選択肢は一切なかった。
そして、ジョナサンの成長には、
父親という存在が不可欠であり、
それも手放さないと決めた、愛だけでなく、
非常にカッコいい女性として描かれている。

◾︎全力で生きるということ
本作は、愛をベースに置きつつ、
生きるということを教えてくれる。
長い人生において、究極何もしなくても、
死にはしないのが今の世の中だ。
しかし、それではあまりに退屈だから、
ぼくらは、人を好きになったり、
仕事をしたり、遊んだりして、暇をつぶし、
人生を少しでも彩り、豊かにしていく。
"アガリ"を決めこめば、人生は色褪せていき、
ただ、死を待つだけになり、ゆっくりと、
人間が腐っていく気がする。

別にそれが悪いことではないとは思う。
人間なんて欲望と理性の間を彷徨ってるし、
例えとしては、不適切かもしれないが、
ぼくも、夏休みの宿題は
直前までやらないタイプだし、
見栄をはるためだけに、
苦労は厭わずにやることもある。

そうやってバランスをとりながら、
人は生きているのだと思う。

ただ、目指すべきなにかがあるのは、
生きる希望になる。
逆に言えば死にたくなったら、
なにかを目指せばいいということだと思う。

劇中、ロビンはダイアナの愛に応えて、
ジョナサンの父親を完璧にこなし、
同じような病気をもつみんなに勇気を与えた。

それは小さなことから目指して行った結果だ。
僕らもなにも目指せず腐っていかないように、
こういったことをやってきたひとがいると、
知れればそれだけで充分勇気がもらえるし、
今目指してることを頑張ろうと思えるのだ。

人生を、彩り豊かにする方法は、
まず知ることから、始まると思う。
いつ突然やってくるやもしれない絶望に
備えて、目指す勇気をもらいにぜひとも、
劇場でご覧ください。
アキラ

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