ドンキーホーグ

トップガン マーヴェリックのドンキーホーグのレビュー・感想・評価

4.0
トム・クルーズの良い所が詰まった映画。絶妙なコミカルさとドラマと、m:iシリーズを思わせるような怒涛の展開。予想の上を行くストーリーでとても楽しかった。

シネマトグラフィーも非常に良かったと思う。いわゆるモダンシネマの、一眼レフみたいな、背景のボケが強くて、キャラクターに焦点がカチっと合ってる感じ。グレーンも少ない。ライティングは、黄色み掛かったオレンジで、アナログ的な温もりを感じさせるシーンが多くて印象的。暖かな色合いで人の絆を感じさせるシーンを、逆に最後の作戦のシーンは寒々しい雪山で青い色合いで、良い対比になっていた。


話の筋はともかく、空中戦が素晴らしい。
空間把握能力が無い自分でも、何が起こっているかという状況を把握できてハラハラした。
どうやって作ってるんだろう?と思わせるような映像の数々。
純粋に見ていてワクワクした。

本作は古き良きトップガンの正当続編であり、トップガンの「脳筋的な(体育会系的な)」ノリからは全く成長していない。
いわゆる「お前はやればできる!お前にしかできない!お前は諦めないやつだ!」みたいな。
それはそれで、ブレていないと言うか突き抜けているし、何となく見てて元気になれる爽やかさみたいなものがある。

一方そのノリに対して、「なんじゃそりゃ」と思うような観客にとっても、素晴らしいアクションシーンと怒涛の展開だけで充分楽しめるような映画になっていると思う。



冒頭に、「本編とはあまり関係ないけど、映画を象徴し、かつフックとなるシーンを入れてくる演出」が良い。ミッションインポッシブルもインディ・ジョーンズもそうだけど、良いよね、一気に引き込まれる。

トム・クルーズ主演の映画ではトム・クルーズが勝つ。ミッションインポッシブルでもジャック・リーチャーでも、トムが負けるなんてあり得ない。トップガンも同じ。
じゃあ結末が分かってたら面白くないじゃんと普通は考えるが、そこがトム・クルーズと監督のすごいところ。結末が分かっていたとしても画面に釘付けで手に汗握る映画を作れる。トムが負けるかも知れない、と思わせてくれる。

クスッと来るようなシーンも、もはやお手の物と言うか、映画だからこその面白さ、ビジュアルコメディとしての面白さをきちんと入れてくる(窓から逃げ出すシーンとか、ハンドサインのシーンとか)
寒い映画にありがちな、つまらないアメリカンジョークで笑わせようとするんじゃなく、映像的、視覚的にコメディをしてくれるから、やっぱり見ていても楽しい。

非常にゴージャスな映画だった。

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7/13 4DXscXで再鑑賞

h-12で見たけど、サイドを注視する必要はないのでf列が良いかも

アクションとのシンクロ率がすごい。ディズニーシーのストームライダーを思い浮かべると分かりやすいかも知れない。可動域はひょっとしたらストームライダーの方が大きいかも?多分同じくらいだと思うけど。
動きの精密さはこちらの方が上かも知れない。画面とのシンクロ率が非常に高くて、途中から椅子が動いていることを忘れて、飛行機に乗っているような感覚になった。
重力加速度を感じていると錯覚させるため、内耳の平衡器官にそれらしき刺激を与えるわけだが、よく注意すると、上昇時のGを感じさせるため、上昇前のシーンでこっそり席の位置を前傾に戻して、一気に後傾に持っていくのが分かって面白い。

風や振動が音楽やシーンと完全にシンクロしていて、「腹の底に響く」感覚がするのも面白いし、前に感触したときにはウザく感じたストロボの演出も今回は非常に良かった。