これは36年ぶりのトップガン続編というよりも、2022年のトム・クルーズ最新作ともいうべき映画……そう、「映画」だ。劇場のスクリーンで観る映画がこれほど素晴らしい体験であるとトム・クルーズがチャーミングな笑みとともにブン殴ってくる、そんな体験だ。映画が始まって俺は5秒で泣いた。何故？ 分からない。別に前作のトップガンが好きなわけでもないのにスクリーンからDanger Zoneが、あのメインテーマが流れるたびに心が震え、トムが歯を食いしばって10Gに耐えているとき俺も同じように歯を食いしばり、トムがめちゃめちゃなアクロバット飛行を決めたときは候補生たちと一緒に目を剝き、トムが見事に作戦を成功させたときは司令部と一緒に心の中で歓声をあげた……つまりそういうことだ。「トムならインポッシブルもポッシボーになるんでしょ？」じゃあないんだ。「トムならやれる」は祈りであり希望なんだ。誰よりも早く高く飛翔するトムを見上げて、俺は無限のパワーをもらった。映画とは生きる活力なんだ。最高の映像体験だった。
