koumei

トップガン マーヴェリックのkoumeiのレビュー・感想・評価

4.1
とにかくカッコいい。80年代テイストをそのままにアップデートしているのが凄い。
あらすじ:第五世代戦闘機が敵国に開発され、空中戦強化が必要となり、マーヴェリックがトップガンに復帰。部下を従えミッションに挑む話。
解説:冒頭滑走路から戦闘機が次々と離陸するシーンは圧巻。このカッコよさを要素分解すると、カット割の早さがCM的でテンポが良く冗長さを感じさせないことからきている。掴みが完璧。
で、マッハ10を出すミッションもマーヴェリック自身でクリアし、でもスピードを出しすぎて左遷されてトップガンに戻る。
川崎のバイクで走る姿は36年のブランクを感じさせないほどカッコいい。
トップガンに戻ると昔の回想シーンが連発するが、さきほどのカッコいいシーンはカット割でテンポが早いのに対し、回想シーンは情緒的にテンポを落としてる。この緩急の落差が心地よい。
時折りグースの名を呼ぶマーヴェリックや、アイスマンの出世などもグッとくる。
今回はプレイヤーではなくマネージャーとして、指揮官として復帰してるのが、初代トップガンの視聴層がプレイヤーから部下を持つ管理職になっているその時間軸を意識して作られているのも見事。
実力ある者だけ選抜したいのに人間関係調整の役回りに手を焼くのも管理職あるあるっぽい。
敵の設定が今回のキモで、NATO条約違反で濃縮ウランを持ち込んでいる敵国という設定で、想像するにロシアか中国あたりだと思うが、明示されない。
マーヴェリックは、今回の最大の敵は時間、と言っており、敵に言及しないあたりが、さすが仮想敵を作りづらい現代にピッタリの敵設定で見事。
そして劇中では敵である時間は、ミッションのタイムリミットを指すが、メタファー的にはマーヴェリックやトムクルーズ含め、「老いていく時間、残りわすがな人生の時間」という意味合いもあると思う。
最大の敵はある意味時間と闘う自分なのだと。
そして不可能なミッション、まさにミッションインポッシブルに挑み、何度も失敗しそうになりながら、最後は仲間に助けてもらいミッション成功。
この失敗しそうになるシーンでは、色々思わされた。
仲間を庇って撃沈するマーヴェリックは、親父と同じ死に方で終わるのか、、と思ったし、マーヴェリックを庇って撃沈するルースターは、初代トップガンのグースの死を彷彿とさせた。
また、オールユーニードイズキルだったらここで何度か失敗してて、ベストエンディングがこれだったんだろうな、とも想像できた。
最後に、本作は初代トップガンと同じプロットだったと気づいた。
最初にマーヴェリックのカッコいいシーン→バーで上司と部下が会う→翌日上司がバーで絡んだ人だと気づく→仲間との確執→スポーツ(前回はビーチバレー、今回はアメフト)→死(前回はグース、今回はアイスマン)→ラブシーン→最終決戦、勝利→ハグ(前回はアイスマン、今回はルースター)
プロットが同じと気付けば、戦闘では誰も死なないことがわかるようになっている。

まとめると、
・短いカットの連続、PVのようであることが、尺の長さを感じさせない。オジサン世代だけでなくショート動画世代にもマッチ
・時間がテーマになっていて、ミッションのタイムリミットと自分の老いがテーマで重なっている。ミッションコースが低空から始まり山あり谷あり最後急上昇みたいなコースなのはそれが自分の人生そのものを表しているから
・トップガンとプロットが同じである
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