青豆

寝ても覚めてもの青豆のレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.9
偶然にも3月11日にこの映画を観ることになったのも、何の因果か。

東日本大地震を経験して、死というものが思っているよりずっと近くに存在しているということを、目の前に初めて突き付けられた。だからこそ朝子が心のままに麦の手を取ったのも、亮平の元に帰ったのも自分にはどちらも凄く自然なことのように思えた。
生と死の対比であるように、麦と辿り着いたのは被災地であり、反対に亮平とはそこから帰ってきた。それぞれの車内で目覚めた朝子が、寝ても覚めても揺るがなかったのは亮平への思いの方だった。
ラストで亮平が川を見て"汚い"と言った瞬間に、きっと朝子は"綺麗"と言うだろうと分かってしまい、感情がなかなか読めない朝子ではあったが、(なので恐らく)共感している自分に気がついた。
自分はこれまで心のままに間違った道を選んで来たと自覚しているし、そのことに後悔はない。けれど最後は正しい道を選びたいな、無論心のままに。
引き込まれてしまうような不思議な世界観で、スクリーンを出てもこの二人が愛し合ってしまったのは何となく理解できてしまう。

わたしは偏屈人間だし、年齢を重ねるごとに感受性が少しずつ失われていっている気がしてならないので、監督が表現したいことや伝えたいことを汲み取れていない気がする。お門違いかもしれないけれど強く思う事があったので、書いておく。
青豆

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