うべどうろ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のうべどうろのレビュー・感想・評価

3.4
 やはりショーン・ベイカーは優しい。とてもいい人なのだと思う。登場人物が皆、ギリギリ「嫌な人」ではない程度に過激に描かれつつも、どう見たって子供はかわいいし、母親たちには同情したくなる。その描き方こそ、「貧困」という重いテーマをポップで微笑ましく見せてしまう、彼の魔法に違いない。
 そのためにも、この作品で貫かれている色彩感覚は超重要だと思う。紫の壁、登場人物たちのカラフルな服、そして刺青の色。その全てが、彼女たちが精一杯生きている「血の色」として、画面に鮮明に映える。かわいらしくも、どこか毒毒しいカラフルさこそ、この作品のテーマと一致することではないだろうか。
 「貧困」というテーマの描き方には、様々な形があると知る。子供を題材としたものでは、ナディーン・ラバキの「存在のない子供たち」が群を抜いて良いと思うけれど、それでもこの作品には、この作品にしか出し得ない特色があるから見応えがあった。
 そして何より、ウィレム・デフォーが渋すぎる。カッコ良すぎる。こんな管理人最高では?という感じ。
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