みゅうちょび

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のみゅうちょびのレビュー・感想・評価

4.5
2022年からベーシックインカムが導入されるなど、貧困問題を抱えるフロリダ。

映画の舞台となるモーテルは夢の国ディズニーランドのお零れでももらうみたいに紫色🟣に塗られている。

一緒に遊べる友達がいて、走り回れる場所があって、いつも一緒にいてくれる楽しい母親がいる。アイスクリームも缶ジュースもいつもみんなで分け合わなきゃならないけど、子供達にはこれっぽっちも悲壮感なんてないし、悪戯して大人達を困らせて叱られたってへっちゃらだし、夜には帰れる場所がある。

日本の子供達の方が窮屈でこんなに自由に遊べないなーなんて…ふと感じてしまうんだけど…現実はもっと厳しいのかも。

プールもあるし一見安モーテルには見えないけれど、ヘイリー達を含めて宿泊者は皆そこで長期滞在しなければならないような、つまりアパートなど借りる事ができない事情があるような人ばかり。ベッドは古くて、あちこち故障だらけだし、定期的に食料品の無料配給が来たり、フロントに来た客は「こんなとこは嫌だ!と泣き出す」、遊んでいる子供達に近づく怪しいジジイまでいたりする。

ある意味ここは、ハリボテモーテル。

子供達があまりにも楽しそうだから、もうこのままでいいじゃん!て思ってしまうんだけど、無邪気な笑顔の裏でムーニーがいろんな大人の事情を見て来たことがだんだん分かって来たりもする。

結末を考えれば、ヘイリーの自業自得とも思えるけど、もしヘイリーが普通のまともな大人並みに責任感とか常識があってあの生活状態だったとしたら…?

そこに見えるのって責任の重さに耐えかねて精神を病んだり、子供に当たったりする姿?

それに、どう見てもヘイリーの行動は、自分の幸せとかよりも、ムーニーとの生活と彼女の喜ぶ姿だけのために見える。(葉っぱは持ってたゲド…)義務とかそう言うのでなく、ただただ当たり前のように2人で笑っている時間のためなんだよ。ヘイリーはムーニーの母親だけど、やってることはムーニー並みで、彼女も子供なんだよね。

そこに子供達やヘイリーを見守るモーテルの強面マネージャーのウィレム・デフォー。

彼の出演作色々見てると思うけど、この映画の彼が1番好き!!

ふと溢れる笑顔が愛しいーー!💓💀

いつも厳しい顔で、子供達の悪戯を叱ったりするけど、決して人を見下したりしない。

同情するなら金をくれ!💰

彼らの厳しい現実を、彼はちゃんと理解してくれてて、ヘイリーやムーニーが本当に必要としているものが何かを分かってるからこその距離で見守ってるんだよね🥲

ここはおとぎの国じゃない。

だから、楽しければそれでいいなんてことは認められない。現実の社会のソーシャルワーカー達はムーニーもヘイリーも不幸の枠組みに入れてしまうし、あんなことをしてしまうヘイリーは当然悪い親の枠に入れられてしまうけれど…

裕福な生活をしていても、子供と過ごす時間がない親の方が健全なの?ってところを考えると、社会そのものが不健全であるところが大きな問題なのは明らかなんだよね。

最後はほんと泣ける😭

だけど、終始一貫して悲壮感はない。



にしても…ヘイリー…ホヤホヤの生理パッドはやめなさい‼️😅

メーコン・ブレアも登場😆
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