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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のmarimoのレビュー・感想・評価

4.0
物語の空白が多いほど奥行ができる不思議。

現実を抜け出し、夢の先にみた少女たちの未来に想いを巡らす。

「真夏の魔法」なんてサブタイトルが付いていますが、貧困を題材にした社会派作品だったりします。
それをムーニーという子供の目線で描いているため、重たい部分は観客の想像に任せて映像としては明るくポップに仕上がってます。

重たいテーマを表面上は見せずに描きつつ、何層にも重ねた物語の厚みもあり、何というか、とにかくお見事な作品でした。

子供目線が故に大人たちの設定は、ほとんど語られないので、行間で想像させて形成される登場人物たちは観客の数だけ捉え方が分かれそう。(ただ子供達のセリフの中に大人たちの描かれない部分を想像させる仕込みがチラホラ。お風呂のところとかは意味が分かった後はヘビーっすね。ここらへんの演出もお見事)

ヘイリーとムーニー母娘に対して拒絶反応を示してしまう人も多そう。(たしかに酷い)
母ヘイリーを自業自得と言ってしまえばそれまで、もちろん感情移入なんて出来ない。

なんというか、ヘイリーは、必死に生きているけど、真面目には生きていない。
その結果が自分も娘も堕としていく。ヘイリー自身が大人になれていない。

この抜け出せない貧困というものが事実裏側にあるものの、単にそこを肯定でも否定でもなく描くドキュメンタリーライクなリアルがガツンときます。

ヘイリーのムーニーに対する愛情は本物だし、性格が悪いわけでもない。
社会性や道徳心、計画性がないだけ。
何も学ばずに大人なってしまっただけ。
愛だけでは生きていけない現実があるだけ。

そしてインパクトあるラストシーン。
夢のような世界を描いているのに現実に溢れたそれが何とも言えない余韻で好きです。
(映画観たなって感じの余韻)