ミーー

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のミーーのレビュー・感想・評価

4.0
夏の陽ざしとパステルカラーに彩られたポップな映像と、その裏にある貧困と絶望の対比が秀逸だった。まだ六歳のムーニーは現実を完全に理解できてはいないものの、不穏な気配は強く感じとっている、という子どもならではの視点が効いている。また、たとえばムーニーの父親のこと、なぜ母子がこのモーテルに流れ着いたのか、支配人の身の上など、設定にまつわる過剰な説明が排され、淡々と現在の彼らの姿だけを追っているのもよかった。
母娘のきずなと愛情を描く半面、彼らのずるさやしたたかさからも目をそらさず、そこにある光と影をありのままに見せているのもいい。母親の破天荒ぶりには少々戸惑わされるけれども、もし自分が幼い娘を抱えるシングルマザーで、どうしても仕事にありつけず、それでも愛するわが子を絶対に手放したくないとしたら、どんな選択肢があるだろうと考えさせられた。
ミーー

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