ミーーさんの映画レビュー・感想・評価

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9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.0

おもしろかった。
さまざまな国の翻訳者が豪華な洋館の中に隔離される、という設定だけでもわくわくしてくる。事件が進行している最中だけでなく、事件前や事件後にまで自由自在に時間軸が変化していく構成も良かっ
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イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.5

気球に乗ってのんびりと空を旅する話かと思いきや、かなり命がけで迫力満点だった。人知を超えた自然の大きさとおそろしさ、そして美しさを実感する。こうして人間の限界を超える世界に魅了され、挑もうとする人々に>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

みごとな脚本に感服した。
冒頭から不穏な雰囲気満点だが、話が進むにつれてますます予想を超えるしかけが繰り出され、また隅々にまで伏線がはりめぐらされていて、目が離せないし気も抜けない。驚きの展開にはらは
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

どこにでもいそうな、ごく普通の家族の物語だ。両親は懸命に働き、子どもたちの幸せを願い、まっとうに生きている。子どもたちのほうも親を慕い、その体を案じている。
それなのに、なぜか、彼らはどうしても幸福に
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天気の子(2019年製作の映画)

3.5

まだ映画館でやっているのを見つけて、遅ればせながら観賞。
直球のファンタジーではあるものの、背景となる東京の風景が固有名詞つきでこまやかに描かれているおかげか、親近感を持った。映像も美しい。展開や設定
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つつんで、ひらいて(2019年製作の映画)

4.0

装幀家という仕事の奥深さと難しさ、そして喜びが伝わってくる映画だった。紙質、文字のフォントや色や配置、帯の文言との調和、さまざな要素を芸術作品のように計算し尽くす、菊地氏の絶対的な美意識に感じ入る。一>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.0

タイトルのとおり、離婚を題材としながら、結婚とはなにかを考えさせられる映画だった。もう一緒に人生を歩み続けることはできない、かといって憎みあっているわけでもない、そんなふたりの葛藤がリアルでかなしい。>>続きを読む

テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.0

主人公の脚本家はもちろん、軍人、監督、女優、それぞれのキャラクターが個性的で、せりふ回しもユーモアあり毒ありでおもしろく、完成度が高かった。登場人物がテレビドラマについて真剣に話しあうというメタフィク>>続きを読む

草間彌生∞INFINITY(2018年製作の映画)

4.0

もともと草間彌生の作品が好きだ。一見カラフルでポップなのに、よく見たら少々まがまがしいというか陰もあり、じっと見ているとじわじわ息苦しくなってくるような、とにかく強烈かつ濃密なパワーを感じる。
本作で
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.5

石田ゆり子が美しかった。
展開もせりふもドラマチックで、やや現実離れした印象も受けるほどだが、主人公たちが天才ギタリストと国際的なジャーナリストという、これもいわば現実離れした設定なので、そんなに違和
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ドリーミング村上春樹(2017年製作の映画)

4.0

翻訳者としてのプロフェッショナル意識と、村上春樹作品に対する深い愛が伝わってきて感銘を受けた。そもそも日本人にとっても難解な村上作品を、著者の意図を正しく汲んで外国語に置き換えるなんて、想像を絶する難>>続きを読む

ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)

4.5

とてもよかった。劇的な事件が起きるわけではないが、女優ふたりのかけあいがテンポよく自然で、まったく飽きない。やさぐれた主人公、崩壊ぎみの家族、茨城という土地柄、明るいとはいえない場面も淡々としたユーモ>>続きを読む

ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たち(2018年製作の映画)

4.0

お金儲けのプロジェクトではあるものの、欲に目がくらんでというよりは、不可能とされていることを自分たちの力でなんとか可能にしてみせようという情熱が強調されていて、意外な半面おもしろかった。作戦が成功した>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.0

ぽっちゃりした体型とにきび、やや猫背の姿勢、好きな男の子とちょっとした会話をかわすだけで挙動不審になり、先輩と少し仲良くなれて舞い上がる、などなど、主人公の冴えない雰囲気が絶妙でいじらしい。周りは自分>>続きを読む

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

4.5

極悪非道な連続強盗殺人を描きながらも、冒頭から結末まで美しい映画だった。洗練されたカラフルな映像とラテン系の音楽がからみあい、度重なる犯罪の緊張感も相まって、作品世界にどっぷり浸れた。
原題は「天使」
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

4.0

甘くてせつない青春ラブストーリーを想像して観たところ、思いがけず暴力の色も濃かった。A24らしいみずみずしい映像や音楽に乗せて、ティーンどうしの恋愛が生き生きと描かれる一方、平凡であかぬけない主人公が>>続きを読む

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢(2018年製作の映画)

4.0

家庭や仕事など、それぞれに悩みを抱える中高年のおじさんたちがシンクロナイズドスイミングに出会い、仲間とともに練習に励む中で人間として成長し、困難を乗り越えていく……という話の展開に意外性はあまりない。>>続きを読む

海獣の子供(2018年製作の映画)

3.5

海や水の描写がとにかく美しかった。音楽もとてもいい。
内容はわりと難解、というか哲学的だった。なにが起きているのか逐一理解するというよりは、映像や音楽に実を委ね、感覚として受けとめるしかないのだと思う
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誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

3.5

はじまってからしばらくは、のどかな風景や再会を喜びあう家族、にぎやかな結婚式など、明るく美しい場面にみとれてしまうが、事件が起きてからは雰囲気が一変する。田舎町ならではの閉塞感とからみあう人間関係が、>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

4.5

とてもよかった。若者たちの焦燥と暴走が、痛々しくもあり滑稽でもあり、胸に迫る。彼らは「普通」であることを忌避しながらも、自分たちが「普通」であることをうすうす悟っている。だからこそ、「普通でない」行動>>続きを読む

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)

4.0

半身不随の障壁を乗り越えていく話だと鑑賞前には思っていたが、さらにアルコール依存の苦難が重く扱われ、ガスヴァンサント監督らしい、人間の本質を見つめ直すようなドラマにしあがっていた。回想と現在を自由にゆ>>続きを読む

長いお別れ(2019年製作の映画)

4.0

山崎努の演技がすばらしかった。少しずつ働かなくなっていく頭と体を持て余し、焦燥と葛藤があるはずだが、その心中が過剰に表に出されていないのもいい。その分、淡々とした無表情の奥に時折のぞく感情の揺れが、ど>>続きを読む

Be With You 〜いま、会いにゆきます(2018年製作の映画)

4.0

死者がよみがえって残された家族に会いにくる、という話はけっこうあるが、本作はさらにもう一段しかけがあっておもしろかった。時系列をいったりきたりする構成もいい。個人的には、不幸な設定を少々重ねすぎではな>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.0

片想いの歯がゆさとままならなさに、ぐいぐいひきこまれた。
ただ夢中で彼を追いかけていくうちに、それが恋なのか愛なのか執着なのか、どんどんわからなくなっていく主人公の暴走がとてもリアルで痛々しかった。現
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ザ・プレイス 運命の交差点(2017年製作の映画)

4.0

カメラがとらえるのは終始カフェの中のみで、外でなにが起きているのかは登場人物のせりふでしか把握できない。集中力と想像力が必要だけれど、主人公の男が置かれている状況を自分もなぞるかのようで、おもしろかっ>>続きを読む

美人が婚活してみたら(2018年製作の映画)

3.5

助演の男性俳優ふたりがよかった。善良で誠実だけれども恋愛対象になりにくい男、絶対にかかわりあわないほうがいいのに刺激的な魅力を振りまいている男、対照的なふたりがそれぞれみごとに演じられていた。
原作が
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ヴィクトリア女王 最期の秘密(2017年製作の映画)

3.5

女王の演技がとてもよかった。当初の不機嫌そうな仏頂面とは対照的に、お気に入りの従者と出会ってからの笑顔はチャーミングで、少女のように初々しくさえある。生き生きと華やいだ姿の一方で、威厳あふれる統治者と>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

4.5

映像も音楽もカラフルでポップで、青春の光と熱がこれでもかというくらい伝わってくる。若いってそれだけで価値があると素直に思わされる一方で、その若さが刻一刻と目減りしていくのがせつない。
青春時代は二度と
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ジュリアン(2017年製作の映画)

4.0

DVがテーマだが、殴る蹴る、怪我やあざ、といった直接的な暴力描写は、おそらく意図的に避けられている。そのかわり、父親のちょっとした目線の動き、ぴくりと片眉を上げる表情、乱暴なハンドルさばきなどに、いち>>続きを読む

LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て(2018年製作の映画)

4.0

おもしろかった。長回し、限定された視界、そして役者陣の熱演で、まるで舞台劇を観ているかのような臨場感を味わえる。ラブホテルの一室という特殊な密室の設定も、みごとに活かされていた。
かばんにしこんだカメ
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アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.5

レディーガガの歌がとにかく圧巻だった。ライブで大勢の観衆を前に堂々と歌いあげるシーンも、恋人の前でアカペラで新曲を口ずさむシーンも、どちらもよかった。メイクや服装がだんだん洗練されていく様子もおもしろ>>続きを読む

おかえり、ブルゴーニュへ(2017年製作の映画)

4.5

兄妹のドラマが重層的に展開していく、いかにもクラピッシュ監督らしい深くてあたたかい群像劇だった。父と息子の確執、女性後継者の葛藤、婚家での婿の鬱屈、国境を越えて普遍的なテーマが、リアルでありながら重た>>続きを読む

シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

シチリアの美しい自然の中で、陰惨な誘拐事件が起きる。被害者の少年を想う少女は、懸命になって少年を探す。物語の展開は、想像していたほのぼのとした恋愛ファンタジーではなくハードなサスペンスで、はらはらして>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.5

死後も幽霊となって愛する妻を見守る夫のお話、というあらすじからは想像していなかった方向へ話が展開していき、いい意味で意外性があった。単なる夫婦愛を超えて、生と死、存在することの意義といった哲学的な問い>>続きを読む

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

4.0

透明人間の少年と盲目の少女の恋、という設定がまずすごいと思った。
鬱蒼と茂る林、不穏な気配の漂う病院、ひっそりとたたずむ屋敷、ファンタジックな映像が美しくてひきこまれる。静かな雰囲気のわりに、二転三転
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日日是好日(2018年製作の映画)

4.0

ゆったりと過ぎゆく時間の流れに、身を委ねられる映画だった。
とにかく、お茶の先生役の樹木希林がすばらしい。凛としたたたずまいや所作といい、圧倒的な存在感といい、それでいてどこかユーモアもあって、これ以
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