ゆみな

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のゆみなのレビュー・感想・評価

3.3
その人が幸せかどうかなんて、他人がきめることではない


いやー、ぜんぜんハマらないと思っていたこの映画を意外と好きになってしまった自分にビックリですよ。
常識から考えると贔屓目にみたって立派な母親とは言えないヘイリーと、見事にその母親の背中を見て育ってしまったムーニーちゃん。前半はいたずらっ子(こんな可愛い言葉では片付けられない)なムーニーちゃんにイライラさせられっぱなしでどうなることかと思いましたけど、どうしてこういうことになっちゃったのか…なんでヘイリーはまともに働けないのかとか色々ぐるぐる考えまして…。もちろんヘイリーがクソ女でダメな母親であることは分かるんだけど、それは観ている私達にとってのことでね…ムーニーちゃんはそう感じていないってことなんですよね。母親と一緒に過ごしている時のムーニーちゃんはいつも笑顔で、ヘイリーだってムーニーちゃんに対して怒鳴ったり殴ったりなんてことは勿論しないんですよ。でも、やっぱり周りから見ると放っておけない…って言うのも痛いほどわかって、だからなんだかやるせない想いが渦巻いてしまった次第。

子供目線のアングルのカメラワークがほんとに素晴らしくてね、なんか小さい時に観た景色とかをノスタルジックに思い出したりしてね。ムーニーちゃんの観ている世界はキラキラしていて、でも大人のアングルに切り替わると途端に現実味が増して追い込まれていくのがつらい。

でも、やっぱり個人的にはタンジェリンのが好きかもなぁ。それは、私がこういう子供が大嫌いってことと、やっぱりヘイリーみたいな母親は許せないなぁ…って思っちゃったからかも。だから、戒めのように冒頭言葉として書きました。誰かの幸せを自分のものさしで測るのは間違いなんだろう。
ゆみな

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