肉

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法の肉のレビュー・感想・評価

5.0
良かった。

母親のだらしなさと娘への愛情。周囲の大人の厳しさと優しさ、貧困のループから抜け出せない絶望と子どもの将来。人生のままならなさと毎日の暮らしの中にある、希望と呼ぶにはささやかすぎるキラキラしたもの。相反するものすべてが平等に描かれているから観てるこっちはギリギリセーフで暗澹たるきもちにならずにすむ。

母親も、駄目なやつなんだけど、どこか責められない。悪人でもだらしなくても、バカでもダメでも、ある日突然なれちゃうのが母親だ。

母になったからって突然、聖人君子になれるわけじゃない。

正しい母親のやり方分かんなくて迷ってて、でも子どものことは大切に思っていて、周りチラ見したりしながら、ようやく何となくで母親やってる人の方が私含めホントは多いんじゃないかな。

今は運良く自宅があって明日のおまんまの心配しないで生きてるけど、私と娘だって、明日は我が身では?みたいな身近さを感じてしまった。

だからあのラストシーンは泣けた。
爽快感と皮肉のせつなさが相まった変な気持ちになってすごい泣けた。
肉