卍もやし卍

映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!の卍もやし卍のレビュー・感想・評価

5.0
観賞から一夜明けたが、いまだに衝撃的な内容と左斜め前の親子連れの痛い視線が忘れられない。

今般のプリキュア映画は過去作品と一線を画したものである。
ご存知前作「映画 魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!」ではその感動的な内容に全世界が涙した。私自身も映画館で視界を滲ませながらプリキュアを全力で応援した。
しかし、今回の映画は感動するような展開がほぼ皆無であった。どちらかと言えばトムとジェリーに近い物語の運びである。

これにはいくつか理由が挙げられる。
1つは、今回の監督である土田豊氏はギャグ演出が得意な演出家でもあるということだ。前作タイトル「魔法つかいプリキュア!」においてもカオス回と名高い第29話『新たな魔法の物語! 主役はモフデレラ !?』や「スイートプリキュア♪」の第37話「ワクワク! ハロウィンでみんな変身ニャ!」など、我々に強烈な印象を与え続けてきた。
そんな監督だからこそここまではっちゃけた内容になったのだろう。

2つ目は商業的な理由である。
財団Bの女児向け大型IPは今まで「プリキュアシリーズ」や「たまごっち」等であったが、2012年に「アイカツ!」・13年には「妖怪ウォッチ」といった新規勢力に売り上げパイを奪われていた。14年には「プリパラ」も登場し、この間「プリキュアシリーズ」の売り上げは激減した。しかし、近年「プリキュアシリーズ」の売り上げは回復傾向にある。その回復をより確実なものにするために、ターゲット年齢層を未就学児に絞ったのではないか。未就学児にターゲット年齢層を絞るということは物語としてもシリアスな展開よりもコメディ調の方が受け入れ易く、結果的にも良かったのではないか。

そろそろ内容に触れなければならない。
私自身、鑑賞中は常にニヤニヤしていた。
ハイテンポに畳み掛けてくるギャグの嵐に、それぞれのキャラクターの個性が上手く乗っかっている。
しかもまほプリみたいな先輩プリキュアが春映画でないにも関わらず登場したということは、十五周年企画への何らかの実験ではないか。

最後に私はがっかりした点がひとつある。
来年の春映画には姫プリ出ない可能性が濃厚であるということだ。
オールスターではなくドリームスターになったことで、危惧していたことが現実になってしまった。きららちゃんに会えない。

15周年に期待するしかない。
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