アトミ

日本暴行暗黒史 怨獣のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

日本暴行暗黒史 怨獣(1970年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

70点

不穏なサントラ。
吉三とハゲ(丸刈り)。2人の薬売りが町にやって来た。
そして醤油問屋の様子を伺っている。
オーナーは権田庄之介。
彼は昔、盗っ人で吉三の相棒の庄太だった。

夜。
ドスケベのハゲは夜鷹(娼婦)とエンジョイ交尾ライフ。

事が終わった夜鷹に吉三が話しかける。
夜鷹は亭主と別れ、子も捨て、飯を食うために体を売るが、性に合ってるようだ(好きこそものの上手なれ)。

情から吉三も夜鷹を買おうとする。
が、深く話を聞いてみると、「島送りになっている亭主」をほっておいて、ただただ「エンジョイ交尾ライフ」を楽しんでいるようだ。
ブチ切れた吉三は「クソアマ死ね!」と夜鷹を成り行きで絞殺してしまう。

翌朝。夜鷹の全裸死体は醤油問屋の店先にあった。
死体には「庄太、命頂戴」と書かれた布が掛けられていた。
15年間の島流しの恨み、そして女房の敵。それを晴らすことが、吉三の目的だった(ハゲは雇われの身)。

とりあえず庄太は店の風評被害を理由に従業員に夜、こっそりと死体を川へと遺棄させる。
そして庄太は覚悟の上、後妻のチカに全て話す。


庄太は昔(徳川さんの頃)、金蔵破りの大悪人。大盗っ人だった。工場も豪邸も盗んだ金で築いたのだった。
ある日、信頼する幼友達の吉三と海鮮問屋の金蔵から3000両を盗んだ。
そして金を船に積み終わると、「魔が差した」のか吉三がイキナリ襲いかかって来た。
そして取っ組みあってるうちに、庄太は事故的に吉三の腹を刺してしまう。
殺してしまったと思い込んだ庄太は恐怖でその場から逃げ出す(ちゃっかり金を持って)。

しかし、うしろめたさから吉三の妻フミ(妊娠中)に全てを打ち明ける。
おフミは日頃の吉三の行いから、庄太の話を信じた。
2人は話し合った結果、産まれてくる子供のために町を離れ、江戸でこの醤油問屋を買い取った(おフミは庄太の妻になる)。

そしておフミは吉三の子ヨネを出産するが、そのまま死んでしまう。
庄太はおフミの遺言通り、おフミは女郎に売られ野垂れ死んだと噂を流した。
おヨネの父親が島帰りでは嫁には行けないゆえ、庄太の子として育てた。

と、筋が通ってるようで何だか庄太に都合良すぎる胡散臭い話ではある。

蛇のような吉三にこの話をした所で無駄だろう。と、庄太はチカに、別れて実家に戻れと言う。
が、チカは離れない。全てを受け入れる。
2人はファッキン。突然カラーになる。中々長めでしっかりファッキン。
サントラの打楽器系が腰を振ってるリズムに聴こえて滑稽。

その頃、夜鷹の死体は警察に発見される。


一方。チーム吉三。
中々作戦を実行しない吉三にハゲは痺れを切らす。3000両の話も嘘だろ?タダ働きさせる気か?的に疑い始める。
吉三は全てを話す。

が、吉三のエピソードトークでは、船に金を積んでから「魔が差し」襲って来たのは「庄太の方」だった。
吉三は腹を刺され、明け方助けられるもそのまま逮捕。15年島流しに。
フミは庄太に女郎に売られ野垂れ死にした。

「取り返した金はお前(ハゲ)に全部くれてやる!だから言うことを聞いてろ!」
吉三はただ昔の盗っ人の掟通りに奴を始末するのが望みだった。

ハゲはもしかしたら3000両どころかもっと大金が入るかもしれないと有頂天になり、夜鷹を買う。
そしてその最中に「ゆうべの夜鷹殺し犯人は俺だよ!」と言ってしまう。
夜鷹はおとり捜査だった。警察が集まる。参考人として捕まりそうになるが、何とかその場は逃げ延びた。
が、あまり時間がない(目をつけられた)。てか1人でやっちゃえばいいじゃね?おっさん(吉三)のタイミングを待つ必要なし!
という事でその足で、醤油問屋へ乗り込み、身代金5000両の要求メモを残しヨネを拉致る。

その頃、ハゲを捜索する警察は宿にまでやって来た。話し声に気づいた吉三はトンズラ。
時間がないと悟った吉三はその足で庄太の元へ走る(計画を早める)。
が、庄太がいない。
庄太の居場所をチカに聞き、メモを見る。
吉三は取引場所へと走る。


取引場所。
先に取引中の庄太とハゲに追いついた吉三。ハゲの判断を褒める(これを褒めてるようじゃ、吉三は相当頭が悪いのかもしれない)。

吉三は庄太と対峙する。
ここで「魔が差したのは庄太の方」だったと庄太の言葉から明らかになる。
詫びを入れるが許される訳はなく、殴り蹴られる庄太。
そもそも庄太は口が達者なようだ。

怒りの収まらない吉三はハゲにおヨネをレイプさせる。
てかこれ。すごく庄太が「誘導」してる感があるんだよね。
そして早くに言っときゃいいのにレイプされたことを確認してから「お前の子だ!」と言い出すし。

信じない吉三と長々説明する庄太。
その間にもずーっとレイプされてるのが滑稽。
散々レイプさせた挙句、やっと止めに入る吉三。
あーだこーだやってるうちに警官隊が船でやって来るのが見えた。

ハゲは急いで逃げだし、娘の顔を見て改心した吉三は庄太におヨネを託し、逃げていく。警官隊が追いかけていく。

助かった庄太。だったが、この仕打ちにフツフツと怒りが湧いてくる。
「俺は権田庄之介だ!(偉いんだぞ!)」と。
「怨獣」が庄太に乗り移ったね。


庄太はおヨネの安全を確認し、吉三を追う。

吉三は警察隊をバッタバッタと斬り殺し草むらへ逃げ込む。
そこへ現れた庄太。吉三の腹を刺す!
吉三が生きているとアレコレ不都合。これが庄太の真実だった。

また信じた(2回目)のに裏切られた吉三。
最後の力を振り絞り庄太を刀で刺す。
相討ち。笑い出す2人。

庄太「吉!これでいいんだ!これでいいんだよ!」
倒れ込む2人。
その様を警察隊が発見する。


半裸のままで庄太を探すおヨネ。
「お父様~!お父様~!」
庄太、吉三どちらの事でもあるのがいいね。

身代金の積まれた船を必死に漕ぎ、逃げるハゲ。
警察隊が追いつく寸前で

~終~



というお話。
語り手によりエピソードトークが違うというパターンは「羅生門(藪の中)」と同じだが、こちらは、庄太の「本質的胡散臭さ」を浮き立たせる為の様な演出に思える。
ずる賢い庄太と感情的で少し頭が悪い吉三。
んー庄太もまあまあ頭悪いか。


それとも「怨獣(執念)」の呪いか。
アトミ

アトミ