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マーウェンのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

マーウェン(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実在のミニチュア写真家マーク・ホーガンキャンプを描いた作品。

事前情報を入れずに見たので、てっきり実写だと思ってたキャラクターがCGでビックリ!
主人公マークが作り上げたミニチュアの世界がCGで描かれるわけですが、これが「大人版トイ・ストーリー」とでも言うべきリアルさなんですよね。

背景の草木は実写で、そこにCGのキャラクターを置いているのかな?
ちょっと撮影方法まで気になるくらい、この映像には驚かされました。
CGから実写に、または実写からCGへと、シームレスに変わるのも面白かったし、この辺は一時期CG映画に傾倒していたロバート・ゼメキス監督ならではの手腕と言えるでしょう。


そして、実写パートでは、主人公マークのPTSDに苦しむ姿が描かれるわけですが、これもなかなか興味深かったです。

彼に起こった事件を知る事で、実はミニチュア世界での出来事がこの事件と関連している事が分かってくる。
現実から逃避する為に始めた趣味にも関わらず、結局は現実の影響からは逃れられないんですね。
どんな創作物にも、作り手の内面が反映される…だからこそ、箱庭療法というものが成立するのかもしれません。


嫌な事がある度に、ミニチュアの世界に逃げ込んできた、マーク。
しかし、そんな彼も遂に自分のトラウマと向き合い、乗り越える瞬間が訪れます。

クライマックスのシーン。
デジャが「未来に行こう」と誘うわけですが、デジャを薬のメタファーと考えれば、「あの世に行こう」という意味だったのかもしれません。
でも、マークはそれを断り、生きる事を選びます。
例え、そこが銃弾が行き交う様な、過酷な戦場だったとしても。

この瞬間、マークの妄想に過ぎなかったマーウェンの世界は、芸術に昇華したのかなと思いました。
ただ逃避するだけでなく、人に生きる力を与えるのが、妄想と芸術の違い。
ラストに個展を開くのは、マークが真に芸術家になった事を示しているのでしょう。


そんなロバート・ゼメキスのアート論が垣間見れる本作。
個人的にはかなり面白かったんですが、世間的にはコケてしまった様で、あまり知られていないのが残念でなりません。
映像だけでも見る価値はあると思うし、そんなに悪い作品ではないと思うんだけどな~。
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