あでゆ

キラー・メイズのあでゆのレビュー・感想・評価

キラー・メイズ(2017年製作の映画)
1.8
日々の鬱憤を晴らすため居間にダンボールで迷路を作った芸術家のデイブ。気づけばそこは空想したモンスターや罠がはびこる巨大な迷宮に。外に出られなくなってしまったデイブのピンチを知ったガールフレンドのアニーは、彼の警告も聞かず足を踏み入れる。

『ミノタウルス』を下地にして、実際にダンボールで迷路をこさえてみましたという、DIY精神に優れた一作。もろに『CUBE』のようなトラップがダンボールで用意されていて、吹き出す血は紙テープで表現されているという徹底ぷり。
単にダンボールで部屋を作りましたというだけでなく、身体が段ボールになる部屋だったり、錯視を用いた描写だったりと、アイデアは豊富でそれなりに見どころは多い。女性器を模したややドラッギーな映像表現も記憶に残る程度には刺激があった。

ただし全体的にテンポが悪く、正直なにをやっているかが全体的によくわからないため、映像自体に慣れてくるとすぐに飽きが来てしまう。
根本的な構造は「行きて帰りし物語」なので、一団が現在どのあたりにいるかという基本的な情報がわかるだけでも物語はぐっと解像度を増すのだが、そこに『CUBE』的な迷宮の要素を盛り込んでいるために、各部屋で毎度起こる弱いサスペンスや弱いコメディを楽しむといった程度の楽しみしかなく、脱出時も「え、ここで脱出するんだ」と感じて流れについていけなかった。

ダンボールで作るというアイデアは良いが、結局そこから生まれる場面にはクオリティの限界があり、やったことに対するリターンが少なかったという印象。なんでもない迷宮をダンボールでちょっと楽しげに作ったら、まあ多少目のやりどころは生まれるよね、という程度だ。
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