Reno

ミスミソウのRenoのネタバレレビュー・内容・結末

ミスミソウ(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

あらすじと予告の時点でまあまあ分かると思うけどとんでもない映画だったね!笑

山田杏奈めあてで映画見るシリーズ、ついに山田杏奈が有名になる始まりの作品?のミスミソウ。

山田杏奈は相変わらず素敵なんだけど、この映画の場合、実は周りが凄すぎて濃すぎて、意外と今までより山田杏奈映画だ!って感じはしなかったかな笑

まずいじめられ人生で精神状態おかしくなっちゃってるルミがすごすぎた。あれを演じ切ったあの俳優さんこそブレイクするべきじゃないと思ってしまうほど。あのリアルな気持ち悪さ(言い方悪いけどそれしか思いつかなかった)を表現できるって凄すぎると思う。あんなのできる人そうそういなくない?喋り方とか笑い方とか歩き方とか、雰囲気の作り方とか全てが完璧。本当にあんな風になっちゃうだろうな、この人はこういう人っていう説得力。感服いたしました。

そしてもう1人凄いなと思ったのが、幸か不幸かみんなの色んな思いの中心となる、田舎町のクイーンビー、たえちゃん。リアリティのあるカリスマ性すごかった!下っ端たちが勝手に祭り上げてて、少し距離があるけど、ふとしたときには格の違いをしっかり示せるところ、こちらもまたキャラのぶれなさ、説得力のあるキャラ作りが感じられて本当にすごいなと思った。本人の家庭での感じとか、終盤で明かされる主人公はるかとの良かった時代、最後のシーン、冷たく冷酷なシーン、その多面性全てがうまくまとまりのある1人としてなめらかに繋がって見えてこれまたすごい俳優さんだなと思いました。絶対この人経済的にも街の強者の側だなってのが家とか私服とか出てくる前からわかったんだよね。あと純粋に大きな目がすごく印象的。

一見良い人そうな写真好きの人は、どうせこの人も良い人で終わらないでしょ、なんかあるでしょと思ったら案の定、例に漏れず鬼畜なお方でしたね。

先生も酷い人だなと思ったけど、死ぬ前に自分自身子どもの頃にいじめられていて、そういう心残りがあったから、先生になってもう一度友達作って卒業までやり直したかったんだっていう歪だけど本人にとっては明確な芯があったんだなと分かって驚かされた。だからこんな酷い先生が生まれたんだって。この人なりに免許とって先生やるための炎があったんだなって。でも理由がそんなこじれたものだからあんな先生になったんだなって。そういうところもちゃんと考えられていたのが、そこら辺の作品と違うなって。あと少なからず、学校という素敵な空間に自分の子ども時代が終わってもしがみつきたいっていう思いがあって、それもありつつ教員免許実際にとった自分としては、少なからず論理としてわかる部分もあって、不意にハッとさせられたな。
もちろんざっくり見た時、気持〜ち通じる部分もあるなと思うだけで、この人みたいに大きな負の過去があったり、そこから拗れた生徒の見方になったりしたわけでもないけどね。
私は結局、大学卒業してひとまず先生にはならなかったけど、広い目で見るとひやっとするほど、この先生もうまく考え込んで作られたキャラでしたね。

キャラはここらへんで置いておくとして、美しい映像、美しい雪の中、清々しい血飛沫や、自分は最低限の動き、相手に動かせて滅ぼすっていう復讐の連続が素晴らしいセンスで描かれていてここも感心する映画でした!さすが!

そんなばかなってくらい、鬼畜なクズ、しかも中学生がたくさんでてきて、そんなばかなっていう大惨事を巻き起こすんだけど、ストーリーのしっかりした結果的バイオレンスという感じが素晴らしく、ホラーに良いイメージのない私でもすごいな、これぞ良いホラーだと思える作品でした。Jホラー?としてこれは誇れる作品じゃないかな!!

フィクションだとグロいの平気な方なんだけど、さすがに人が焼かれるのはグロくて嫌だったけど。あんな良い家族、しかもあんな幼い子まで。あれは怖すぎた。特に生き残ってICUに繋がれたら妹なんて、生きてることが逆に痛々しくて怖かった。

あとさすがにみんなのクズさが度を越してる分、話の重みも強くて、嫌なもの見たな感は強いよね。単に過激な作品とか黒い作品とかとは違うよね、子どもたちの物語でここまでやられると。演出とかでも視覚的なものでもなく物語としてのグロさの強さ。こんなの胸糞ストーリーすぎますもんね。

何人かは親が毒親で家庭環境が良くないっていうバックボーン示されたけど、田舎の閉鎖性とか毒親の負の連鎖とかそういうものへの問題提起として受け取れるレベルの作品ではないからね、これ。笑 先に書いたように重すぎて、とにかくみんな許せませんって感じ。親が酷くて家に居場所がないからとかそこに同情の余地を見事に無くす恐ろしさ。

とにかく恐ろしいけど、単なるグロではなく色々練り込まれた優れた作品で、しかもすごい逸材が適切に配置された見事な作品でした。

山田杏奈好きになってなかったら見なかっただろう作品だけど、普段見るような作品で感じる凄さとはまた違った視点で圧倒される稀有な作品に出会ったな。
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