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ミスミソウのおふとんのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
3.9
押切蓮介の同名漫画を実写化した作品。
押切作品といえばホラーやギャグ作品が中心で、キャラクターデザインやギャグセンスは中々に独特なので、ハマる人はハマるし合わない人もいると思います。
「ハイスコア・ガール」面白いです。

そんな中「ミスミソウ」という作品は、ギャグから離れて割とド真面目に描いたというサスペンス作品。前編に渡ってシリアスで、田舎の閉塞感とか陰惨なイジメとかがよく描けている作品だと思います。
そしてやはり何と言っても過激なゴア描写、これはもう原作はやり過ぎでギャグの領域に片足つっこんでます。

そんな作品が果たして映画化なんてできるのか。
結論から言うと、漫画原作の実写化としてはもう満点に近い出来です。
目ん玉串刺しにしたり、腹わたが飛び出たりもうやりたい放題。
特に良かったのは、除雪機ぐしゃっのシーンですね。
このスプラッターシーンは特に脈絡も無く訪れるのですが、何とこれ原作通りなんです。
丁度いい所で都合良く凶器が落ちていたりしますがそれも原作通りです。
ラストのある展開を除いてはほぼ原作を再現しているのがこの作品のすごい所で、それもただ原作をコピーしているのでは無くて纏める所は纏めつつ、原作の基本的にシリアスだけど過激すぎて現実味がない、一歩間違うとギャグすれすれの際どいラインを攻めていて素晴らしい。

配役も良くて、ギリ中学生に見える。大体こういうのは実写化すると高校生になっちゃうので。
中学生だから善悪の境目が曖昧で、人を傷つける覚悟も傷つけられる覚悟も無い。
急所も分からないから、暴力の方向性も行き当たりばったりで逆にとても痛々しい。
なのに真っ白な雪と血の赤のコントラストが痛々しいのに美しくてぞっとするという、複雑な気持ちになってしまうそんな映画でした。

もちろん「キルビル」や「必殺仕事人」のような復讐劇として観るのも面白いと思います。
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