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スリー・ビルボードのleylaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0
当時、アカデミー賞受賞式でフランシス・マクドーマンドのスピーチを見て、いつか見ようと思っていた作品。遅ればせながらの鑑賞です。

ミズーリ州の田舎町で3枚のビルボードを設置するところから始まるストーリー。

レイプ殺人で娘を失った母の復讐劇ではあるけれど、話の中でいくつかの大きな山があって、山が動くたびに人の心やストーリーが方向転換する予測不能な展開で見応えがあった。
怒りの悪循環から抜け出せるのか?

複雑な話なのに筋が通った脚本でとてもわかりやすく、この時間内にこれだけの内容を詰め込んでいるのはすごいなと思います。

まず、アメリカの田舎町というだけでいろんな問題を孕んでいる。ミズーリ州は白人警官が黒人を射殺した事件も起こっている州なんですね。
巡査たちのやる気のない態度や差別を示唆する会話などからも、この町のよからぬ空気がうかがえます。もう、この空気感は何が起きてもおかしくないと思わせてしまう、アメリカの闇を感じます。

登場人物は誰もが悪人のようで誰もが善人という人間の表裏をうまく描いていて、誰の気持ちにも寄り添えそうで寄り添えない。なんだかもどかしかった。それだけ人の心って複雑で、物語の深みを感じます。

最後は、人は人とのつながりによって救われるんだと、ホッとして見終えることができてよかった。

フランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの演技は、噂以上にさすがでした。
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