マーティン・マクドナー監督の映画の中では、キャラクターが生きている。
良い面もあり悪い面もある、うまく行く面もあるが格好悪く終わる部分もある。そんな全てを描いている。「こういう人物だ」と決定付けるのではなく多面性を面白く見せてくるので、彼の映画の登場人物は皆魅力的で、実在感がある。
そしてストーリー内の物事がきっかけとして、人物の行動も少しずつ変わっていく。彼の映画が魅力的なのはそんな理由なのだろうと考えさせられた一作。
田舎町で娘をレイプされ殺された母親が、警察署長に向けて三つの看板を出す。悲壮的な物語を想像していたが、何らそんなことはない。
閉鎖空間の中で人間関係が作用しあっていき、物語は複雑に、鑑賞者を刺激しながら進んでいく。
他人の、怒りや良心に触れたとき、どのような行動をするのかが、それがどのような結果を生むのか。
警察署長がすごい良いキャラクターで、物語に転換を齎している。
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