薄

スリー・ビルボードの薄のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.1
行き場をなくした怒りと悲しみが溢れ、善悪を越えて暴走していく話。所々に希望の光は見えるものの、最後にどのような選択をするにしてもその怒りと悲しみが解消されることはなく、ラスト、人生に疲れきったようなミルドレッドたちの姿が哀しい。
見ないようにしていた、社会システムの中で行き場をなくした感情について改めて考えさせられた。

マクドーマンドはアカデミー賞受賞に相応しい名演。脚本・演出もハイクオリティで、各映画賞で評価されるのも納得の作品。

序盤の主人公に同情しつつも臭いものには蓋的に見て見ぬふりをし、コミュニティに波風を立たせる主人公を排除しようとする……という部分は非常に日本的な話に見えた。それだけにアメリカがこういう映画を作るのは驚きだったし、このクオリティで作られてしまったかという残念さも感じる。
薄