Naoya

スリー・ビルボードのNaoyaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.5
何者かに娘を殺された母親は、3枚の広告看板に警察署長への抗議のメッセージを出す。アメリカの片田舎の大通りに突如現れた真っ赤な広告が、町に嵐をもたらしていく、クライム・サスペンス作。田舎町に訪れる様々な展開の数々が、徐々に熱を持っていく描き方は魅力的。当事者だけではなく、町の人々、関係の無い人々までもが影響されていく様を生々しく描いている。それでも、やはり事の発端となった広告を出した、亡き娘の母親のインパクトは絶大。キャラクターが随一で立っており、演じるフランシス・マクドーマンドの力強さのある演技、繊細な表情と素晴らしい。喜怒哀楽と、2時間足らずの尺でこの表現の豊かさは印象的。ヒューマンドラマとしてもとても観やすいが、万人向けではない生々しさはある。極上のサスペンスでありつつ、犯人探しに全ての焦点を当てない、斬新な展開は見応えがあります。広告に名指しされた警察署長を演じるウディ・ハレルソン、彼の部下を演じるサム・ロックウェル共に演技も素敵で、脇役にとどまらない強烈な印象を残します。本作では勧善懲悪ものではなく、人を描いたからこその複雑な行動や心情が色濃く出ているので、見応えは十分にあるが、完璧を求める人には不向きな内容。
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