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スリー・ビルボードのyu8cinemaあなたと映画のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
「スリー・ビルボード」(原題:Three Bilboards Outside Ebbing,Missouri)

第90回アカデミー賞6部門7ノミネート(作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、作曲賞、編集賞)。

この時期になると、試写会で同席する人や映画仲間との話題はアカデミー賞でざわつく。
今年もそうだ。

正直、この作品が受賞するかどうかはわからない。
それにノミネートした全作品を見たわけでもない。

ただ一つ言えることは、観るべき映画だということだ。

どうにもならないほど苦しい時、こんな気持ちになることはないだろうか。

人の気持ちなんていうのは完璧に理解できないし、理解されない。
当たりたくても当たれない。
話したくても話せない。
理解されたいようで、理解されたくない。

自分の人生を背負えるのは自分しかいない。

だからといって、暗い孤独の映画ではない。
なぜなら、“まとも”な人間は支え合えるからだ。

どんなに沈んでても24時間落ち込んでるわけではない。

そういう時こそ、シニカルなジョークが冴えてたりもする。

人間つらい時はつらい。
だが、人は踏み出す。
踏み出そうとする映画はよくある。
この映画は踏み出した後の2歩目の足の置き所に迷っている。
踏み出した一歩は間違えなんじゃないか。
踏み出した以上後戻りはできない。
修正はしたいがもう態勢が悪い。


でもそれが間違ったかどうかなんてどうでもいい。
どうせ変えられないんだから。
だから、前を向いて足場の悪い道をまた一歩一歩進んでいくしかないのだ。

そう考えさせてくれる映画です。