ベビーパウダー山崎

スリー・ビルボードのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.0
場面(設定)を決めてそこに役者を配置してドラマを広げていく演劇的な作り。いまだに物語や人物を中心に映画を撮っている(だからこそ受けが良い)。すでに関係性のみで映画を構成している世界中の先鋭的な作家の対極にいる。登場人物が不自然なまでに「都合良く」出会い、その仕組まれた偶然性を物語のフックとしているのも舞台上でのお芝居ぽい。なにより映画的な火炎瓶のくだりにまったく興奮しないのは、そのアクションが一つの決めごとのようにしか(これって映画ぽいでしょ程度にしか)映っていないからで『害虫』のたまのドラムが火炎瓶を投げ込む最高の気持ち悪さを二千回ぐらい見てから出直すべき。そもそも人はそう簡単には変わらない、それでも変えてしまいそれなりに丸く収めてしまうのは表現者として三流。フランシス・マクドーマンドにサム・ロックウェル、素晴らしい役者に+0.5。