このレビューはネタバレを含みます
いろいろなところの評価が高いため鑑賞。
ハードルを高くしたつもりはないが、あまりのれなかった。
たまに鑑賞後じわじわと自分の中で熟成して良くなる映画もあるのでそれを期待したい。
予想できない展開や個々の演技、舞台描写、細かな演出、転落していく感覚はよい。
乗れない原因を考察する。
主に主人公級の3人が個人的に乗れない。
・主人公女ミルドレッドに感情移入できなかった。
無駄な意地張りすぎ。悪意の推進力。私自身が気の強い母の母子家庭だからか何なのか行動一つ一つに同意しかねる。警察を目の敵にするのはお門違いだろ。
決定的な挫折と反省を味わってほしい。ディクソンと役回りを代わってもらいたい。悪役。
・ディクソン的警察観に乗れなかった。
黒人いじめをするゲイ的で自己保身をする警察の描写。
韓国映画とかでも思うが不真面目な警察というのが個人的にダメ。
直情的な性格もレッドに暴行するのはまたしてもお門違い。
「デトロイト」的、「ゲットアウト」的なレイシズムは現代アメリカにとってホットな話題だけど、今一つ乗れない。まあゲットアウトはよかった。
・ウィロビー署長
ガン闘病で自殺するシークエンスと各人に残される遺書と支援が予期せぬ余波というよりは確信的悪意すら感じられる点がマイナス。作劇上の必要によって生じるマイナスなスパイラルによって評価がた落ち。
・小人
・レッド
・別れた旦那の新彼女
・新署長
・ミルドレッドの土産物屋や着物みたいな部屋着
このあたりは良い。本作の救い。
「太った歯科医」だけでなく「目つきの悪い女」も出してほしかった(どこかにいた?)ほかも回収されなかった伏線もどきがあった気がする。土産物屋に入った容疑者とかか。
あとはいかにもアメリカ的な、レイプして焼殺、牧師(神父?)に対して児童虐待云々というセリフ、黒人、ゲイ差別、米兵によるイラクや中東での暴行殺人等という問題提起が日本人にとってなじみが薄い。(とはいえ米映画ファンなら初歩的教養知識だ。)
・単純に比較して良いかわからないが、次々とボタンを掛け違う仕組まれた脚本系の映画としては「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のほうがはるかに良い。または良かれと思ってついた嘘がボタンを掛け違うアスガーファルハディ監督の「別離」。
・各個人の盲目的正義が意図せず悪意に連鎖する中の鎖を断ち切るというメッセージはよいが、その盲目的正義に同意できないというのが正直な感想。