nattyan9

スリー・ビルボードのnattyan9のレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
『スリー・ビルボード』 ★★★★☆
 
すっげえな。
痺れっぱなし。
ガチンコ感が半端無い。
   
母親役の
フランシス・マクドーマンド
やばいなぁ。
最初の1分で、完全に掴まれた。
セリフ無いのに、絵が持つなぁ。
迫力が半端無い。
調べたら、舞台もやってる人だった。
やっぱ、舞台やってる人は
底力がすごいなぁ。
 
巡査のサム・ロックウェルも
いいなぁ。
(どっかで見たなぁと思ったら、
「月に囚われた男」の
人だった)
差別主義者の感じがよく出てる。
後半、荒んでる所も、いい。
 
あと、好きなのは、
ブラック・コメディっていう側面。
そのジャンルでは、1番かも知れない。
対照的に、シビアなシーンが
引き立って効果的。
やっぱ、
ピリピリしてるシーンに
空気読めない10代って
面白いなぁw
滝沢カレンかよw
喧嘩してる所に入って来るなよw
 
全体だと、1番好きなシーンは、
(いっぱいあるけど)
後半、元旦那ペアに
ボトルワイン持って、
話しかける所。
やっぱ、ヤバい奴が
ボトルワイン持って、
何もしないのが、一番怖い。
 
あ、でも、前半辺りの
署長と母が二人で
語るシーンもいいなぁ。
 
署長「そんなに私を責めないでくれ。
 ・・・・・・
 聞いてくれ。
 実は、私はガンなんだ」
母「知ってる」
署長(!)(絶句)
母「死んでからじゃ、
 意味ないでしょ」
 
えーー!!!
知ってるんかい!!
どんだけキレてんだ(驚)
 
いやー、マクドーマンド
最高。
 
 
 
ps.
個人的には、
贅沢を言うと、
母の意外な一面が
見たかったなぁ。
単に粗暴な人って感じ。
 
例えば、
娘と仲良くしてるシーンとか。
もしくは、
親子喧嘩の後、
夫婦だけになった時に、旦那に
「あの子の愛し方が分からない」(涙)
とか。
 
娘を愛してる、っていう
シーンが少ないから、
下手したら、
モンスターペアレントなだけの
印象もある感じがするので。
そしたら、
もっと、グッと来るんだけどなぁ。
 
 
 
ps.
作品の中で幾度となく
繰り返されるテーマ。
「怒り」「許し」「愛」
 
怒りは、怒りを増長させるだけ。
では、なぜ、
巡査は、その循環から、
逃れられたのか?
 
では、なぜ、
母親は、逃れられなかったのか?
小人症の男は問う。
「お前は、人のことを責める。
では、お前自身に非は無いのか?」
 
母親は言う。
「道行きで、考えるわ」
 
宙に浮いた問いは、
”観客”に投げかけられている。
「お前自身に非は無いのか?」
 
そもそも、
母親が怒っているのは、何か?
 
”観客”に投げかけられている。
無自覚な”傍観者”に。
 
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