まぁーすごい作品です。
全てが有り得な過ぎなのに、全てがそのまんまの展開。

時は２０１５年、国の経済が破綻し、失業率３５％、１年の自殺者が１５万人、多くの生活困窮者が路上生活する暗澹とした時代に勝ち抜けば超セレブ（時代を反映してか超セレブは中国人です）と結婚できる視聴率８０％を超えるお化け番組「24時間耐久！婚活バトルロワイアル」に借金まみれの６人の独身女性が出演し夢の”新婦”の座を賭けサバイバルレースが繰り広げられる・・・ってお話ですが、勿論そのサバイバルレースはド貧素です。

仲間を蹴落とす心理戦や肉弾戦を期待される方は今すぐＵターン禁止以外の場所で元来た道をお帰り下さい。

掴みの１回戦からして背中がアイロン台代わりの人間アイロン台ですから残りのゲームも想像つくレベル。
アイロンを背中に当てられ「キャーキャー」と奇声を上げる画ヅラは学芸会レベルを超え、結婚式２次会のプログラムレベルにすら達せず殆どの視聴者は３次会を欠席することでしょう。

で、問題なのはゲームに負けた罰ゲーム。
いきなり性の奴隷と化します。
まぁＶシネなんでエロ挿入は理解も、そのまんまやん！
誠に残念なことに、本作の構成はゲーム→罰ゲーム　を繰り返すだけ。
罰ゲームは全てエロですが、何か？

映像、演技は勿論ドチープなのは想定内も、シナリオもそのレベルとは低予算映画としては失格の烙印を押させてもらうしかありません。
例え１シーンでもオモローな映像を見れれば納得出来るほどハードルを下げてるのに、本作はそんなハードルさえ粉々に破壊するほどの別の意味でのクラッシャームービーでした。

借金まみれのアイドルが婚活バトルロワイヤルに参加する話。

全国放送でセックスを流したり「罰ゲームは裏風俗での１０年間の勤務です」みたいなことを民放がやっている世界の話なので何でも許せる。
そりゃあ沢山疑問は沸いてくるけどそんなこと考えていたって仕方がないわけで。

でも、人間アイロン台だとか、一ミリ以上ナイフを入れると爆発するリンゴとか、編集のチープな感じとかはユーチューバー的で「やってみた」感がある。
別にそれが何だってわけじゃないけど、見せ物を見せ物として磨いていくのでは無くって、隙のある見せ物を提示して、バカにされて喜んでもらう、という今の大衆が求める娯楽像というのをちょっと射抜いているところがあったと思う。
そういうものを大衆が求め続けると、自ずと娯楽は過激化していくし、虚構性がつまらないものとされ、生っぽいリアクションが求められていくと思うんだけど、その世界線が暴走したのがここで描かれている日本なんだと思う。
そういった部分に対する問題意識から作られた作品であったなら、作品中番組のクオリティは低くてもいいと思うけど、作品のクオリティ、撮影、演技、ＣＧなどのクオリティは高くないといけないと思うけれど、決してそうではないからどっちらけ。悪趣味な映画にしかなっていない。
ただ、悪趣味でチープであることの不気味さ、というのは確実に醸し出している映画で、そういう意味では隙のある見せ物として成立しているけど誰が観るんだこの映画は、とは思う。どういう気持ちで作られた映画なんだろう。この映画は何を目的としていたんだろう。わからない。

こういう映画って、評価するの難しいです。
こっちも許しながら観るので。うーん。難しいものです。

婚活してぇ〜