あーてぃちょーく

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのあーてぃちょーくのレビュー・感想・評価

4.5
ダニエルクレイグ=ボンドが大好きなオタクとして、公開初日にIMAXで鑑賞。公開延期が続き、待ちに待った映画でした。

冒頭、『スペクター』で結ばれたレアセドゥ演じるマドレーヌの過去が語られる。能面の男・サフィンに家を襲われ、絶体絶命となるもなぜか彼によって命を救われる。007引退後、ボンドはイタリアでマドレーヌとの甘く平穏な日々を過ごしていた。しかしそれも束の間、スペクターの一味に襲撃される。マドレーヌを疑ったボンドは彼女に決別を告げ、穏やかな暮らしへと戻るのだったーー。

とにかく、ダニエルクレイグにはお疲れ様と言いたい。ここまで人間くさく、1人1人の女性を大切に想うボンド像は未だかつてなかった。かつてのボンド像とは異なる姿に批判もあったが、それを跳ね除けるほどの魅力があるし、自分はとても好き。カッコいい。

作品をまたがるストーリー展開も恐らくは初めてで、一種の「サーガ」のようなものを作り出してくれた。特に、Mが死ぬという衝撃の展開と文学的な美しさで最高傑作といわれる『スカイフォール』を作り出した功績は大きい。

ここからはネタバレですが、、

いやー死にましたね、あのジェームズボンドが。予期していたことではありますが、本当に死ぬことってあるんすね。最後は笑顔で。やはりここまで泥臭く、人間味溢れるボンドを作り上げてきたからこそ、惜しまれるラストになったのかなと思いました。実は生きてて、また見たい、というのが本音ですね。

本作はキャストの演技・キャラクター造詣とアクションが良かった。特に本作のボンドガール、パロマを演じたアナ・デ・アルマスが嫌いな男っています?笑 それくらい、可愛さとセクシーさとカッコ良さを兼ね備えていて、出番少ないのに強烈な印象でした。『ブレードランナー2049』でもそうでしたが観客の目を釘付けにする、今後も期待の女優さん。

さらに前作から引き続き登場したレアセドゥの演技もホントに良かった。そりゃボンドも惚れますよ。特に、ボンドと最後の別れとなるシーンで、振り返って彼に微笑みかける表情、、!!息を呑むほど奇跡的な美しさがありました。

ただ、惜しかったのが3時間近くあるストーリー。ほんとに3人も脚本に携わったの?と思うほど粗が目立つ脚本だった。奇しくもこのご時世に、感染力の強いバイオテロを扱った偶然の一致は良かったが、これは脚本家の意図したことではない。ブロフェルドがあっけなく死んだことや、サフィンがスペクターを潰す意図など、腑に落ちない展開が多かった。どうしても『スカイフォール』と比べられることは必至だったからこそ、もう少し洗練したほうが良かったと思う。

お疲れ様の意味を込めて、星は4.5で。