ぴぃ

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのぴぃのレビュー・感想・評価

4.0
人生初、007。映画館で観られて良かった。

ふと思えば本編を頭から最後までちゃんと観たことがなかった。007をはじめスパイ映画大好きな兄の影響で、幼少期にあんなにも身近にあった作品だというのに。文字通り擦り切れたビデオテープの粗い映像、ブラウン管テレビの小さな画面、すぐゲームオーバーになってしまったゲーム、それが私の中の007。館内1の大きなスクリーン、振動が伝わるくらいの高音響、満員の客席の中で、向き合う日が来ることになるとは。昔の記憶が蘇るお決まりシーンも、「久しぶり」というより「初めまして」の感覚。

銃撃戦の大きな音やヒヤヒヤする展開が苦手な人には厳しいかもしれないけれど、アクションの血生臭さや残虐なシーンが苦手な人でも見られる作りなのも嬉しい。ラミ・マレックのヒール役が見てみたくて映画館まで行ったようなものだけど、これぞ悪役・敵役の理想像。特別な武器も能力もいらないし、過剰なコスチュームもなくて良い。あくまで普通ぽくて、明らかに異常な静かな気味の悪さ。底知れぬ哀しみと怒りを一身に背負って生きているその姿に魅了される。

映画として見ていなかったあの頃も、各作品のオープニングが好きだった。特にゴールデンアイ。近年の作品だとカジノロワイヤル。ふと思ったけれど、こんな風にオープニングに尺を取っている映画ってなかなかない気がする。本編へのわくわくを高めてくれるこの映像と音楽だけでも、見に行って良かったと心底思う。
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