映画の道化師KEN

007/ノー・タイム・トゥ・ダイの映画の道化師KENのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ダニエル・クレイグ版ボンド、ここに完結!

監督は「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のキャリー・ジョージ・フクナガ。主演は「007」シリーズのダニエル・クレイグ。加えて、「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレック、「イングロリアス・バスターズ」のレア・セドゥー、「キャプテン・マーベル」のラシャーナ・リンチ、「リトル・ジョー」のベン・ウィショー、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのナオミ・ハリス、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のジェフリー・ライト、「ジャンゴ 繋がれざる者」のクリストフ・ワルツ、「ハート・ロッカー」のレイフ・ファインズ、「イエスタデイ」のアナ・デ・アルマス、「アラジン」のビリー・マグヌッセン、「カムバック!」のロリー・キニア、「裏切りのサーカス」のデビッド・デンシックらが共演する!

現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンドの元に、CIA出身の旧友フィリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、平穏な日常は終わりを告げる。誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドはその過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことになるが…

ダニエル・クレイグ主演「007」第5作品目。コロナ禍の影響で延期されながらも万を辞して公開された今作はクレイグがジェームズ・ボンドとして演じた最後の作品。過去4作品ではボンドに纏わる因縁を軸としたストリートがほとんどであったが、今作ではボンドの永遠のパートナー、マドレーヌの過去にフォーカスを当てた内容となっている。

今作の特徴的な部分といったら「女王陛下の007」をオマージュした物語の設定にある。殺人兵器、犯罪組織の娘、一途な愛を貫き通すボンドなどジョージ・レーゼンビーが演じたボンドの世界観を色濃く反映している。特に冒頭とエンドロールに流れる曲「We have all the time in the world」(時間はいくらでもある)は「女王陛下の007」の挿入歌であり、それは愛に生きるボンドの象徴だ。また、今作では女性の007が登場したり、Qが同性愛者であることを仄めかすシーンがあったりするなど、女性やLGBTに向けた革新的な意識配慮が施され、今までの差別意識マシマシの007とは違う、多種多様な人物たちが威厳と存在感を強く、示している。過去作を好む者たちにとっては受け入れ難いものがあるかもしれ無いが、現代に寄せた新たな試みは多くの人に受け入れられたことは先ず、間違いない。更に、前作よりも銃撃戦、カーチェイス、格闘など、一段上がった派手なアクションを繰り広げる、衰えしらずのダニエル・クレイグをお見逃しなく!

しかしながら、スペクターがあっさりと壊滅したことや、新しい犯罪組織の首領サフィンの野望がハッキリしていないところは個人的にヤキモキした。だが、ダニエル・クレイグがボンドとして走り切ったという事実は変わらないので良しとしましょう。