これまでの自分にとってジェームスボンドは、昔ながらのヒーローのようなアイコン的存在で、ボンドその人の感情だとか人間関係だとかは、ぶっちゃけ関係ない感じのキャラクターでした。
それが今のクレイグボンドとなり、人間ジェームスボンドの物語が始まりまったように感じました。15年前は荒削りで冷たい殺し屋だった彼は、衰えを抱えながらも静かに正義を貫くヒーローとなり、前作あたりからは軽妙さやどこかしら愛嬌までも感じさせるキャラクターになりました。
今作、とうとうその彼の結末を見届ける事になったわけで。とても
複雑な気持ちになりました。
ボンドに求めるものは、観客それぞれで大きく異なるわけで。きっと様々な感想が飛び交う作品だと思いますが、自分的には満足のいく作品でした。ダニエルクレイグさん、本当にありがとう。
タイトルロールの直前、列車内からのカメラワークの美しさに震えました。いろいろな制約を抱えながら、このレベルの作品を仕上げたこの監督。これからもフォローしていきたいです。