水辺の君に

友罪の水辺の君にのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
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原作未読。期待していたんですが、思ったほどではない…ってのが正直なところ。瀬々監督らしさをもっと出して重厚さと暗さを全編に出せばいいんですけど、斗真のせいなのか何なのか画的にポップさが拭えないんですよねー…なんでなんだろ?まぁ、薬丸原作を考えるともっと重く暗く出来たのをしなかったのはよかったのかも。瑛太の演技に圧倒されつつ、バランスよくフレームに収まってるのは上手いですよね。幸薄な女性を演じさせたらピカイチな夏帆も良い演技するし。
とりあえず、過去、十字架、喪失感、虚無感etc抱えたモノは何であれ、それに向き合うのは当人だけじゃなく家族や周りの人間といった抱えさせられた側も向き合わざるを得なくなるのはホント罪深い。しかし過去は変えられないわけで、現在をどうするかが問われるのが現実であり贖罪の在り方で。自分に無関係なんではなく、誰しもがこの中の誰かになり得るっていう。
種類や内容に関わらず、反省とか後悔とかをいつまで続けていけばいいのかわからないし、当人との距離や関わり方でリアクションやレスポンスも当然変わるわけで。
ただ、更生を願う側は当人じゃなく人間の善性しか見てなくてそれは個々によって異なるっていう前提を信じられていないし、反省する側も継続しつづけることが贖罪のひとつであり責任であり終わることのない道程だと思うんですが、その中で幸せを願うことは赦されるのか?っていうのはテーマとして重いですよね。善性の儚さとそれを維持する意思の強靭さのバランスというかその先というか。
コースアウトで踏み外すのは簡単だけど、正しい道へ再度インコースすることは難しいっていう。それでも人は正しさや善性っていう微かな光を探して抱えて、自分の業と人生という深い闇の中を歩いていくしかないっていう現実は残酷。
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