ちゃんご

友罪のちゃんごのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
2.9
この映画は掴みと題材が良い。
映画「怒り」を彷彿とさせる出だしと、「酒鬼薔薇聖斗」を彷彿とさせる設定にワクワクした。

そして、この映画は救いようがない。
この物語には、正解を示す絶対的な正義の人間がいない。
無免許運転で子どもを轢き殺してしまった元少年の父親は、毎年被害者遺族に賠償金を払い謝罪を行っている。
一見子どもがしてしまったことに対して親としての責任を果たしている真っ当な父親にも見えるが、被害者遺族にとってはただの「辛い記憶を思い出させる存在」であり、「加害者側の独りよがりな人」でしかないのである。

確かに謝罪もしないでのうのうと生きる奴は最低だ。
だけど、悲しいことに、一生をかけて謝罪を続けても被害者遺族の気持ちは決して癒されはしないし、被害者は二度と帰って来ないのである。

また、罪に問われ更生の機会を与えられた人間が社会で人間らしく生きようとするとき、それを咎めることが果たして真の正義なのか…。
確かに感情のみで言えば咎めたい気持ちはよくわかる。
だが、人の子どもを殺したのに自分は子どもを産んで幸せになろうとする息子に怒りを露わにした父親の言葉に「正義感」以外の感情が見えた気がした。
「自分はこんなに苦しんでいるのに、お前だけが幸せになるんじゃない」と言わんばかりの、できるだけ慎ましく普通の幸せを掴もうとする我が子に苦しみのみを強要するさまが果たして人間らしいのだろうか。

では、父親はどうすればよかったのか…。
残念ながら、この映画から答えを感じ取ることは私にはできなかった。

語りたいこと、物申したいことはたくさんあるけど、このくらいにしておきます。笑