ペジオ

シークレット・ルーム/アイ'ム ホーム 覗く男のペジオのレビュー・感想・評価

4.4
「見つけて欲しいから家のすぐ傍で座ってる」みたいな子供の家出をいい大人がやってみた

「家族を覗き続ける男」というモチーフと日本版パッケージのブライアン・クランストンの良い笑顔から、変態チックなB級路線を想像していたが良い意味で裏切られた(観始めた時は主人公はもしかして「幽霊」なのでは?と思っていた。)
「覗き」といえばヒッチコックの『裏窓』を思い出さずにはいられないが、あの映画は「見られる側」が境界を破ってこちら側に介入してきたのに対し、本作は「見ている側」の境界を巡るドラマになっているのが興味深い
一人の男がひょんなきっかけで自らの人生の「傍観者」となる物語は、思索的で普遍的な主人公のモノローグも手伝って、面白うてやがて悲しき純文学のかほりすら漂う
この映画でも境界を超える瞬間は訪れるのだが、そこには人生の残酷と愛しさが滲む
僕たちはその瞬間を「傍観」することしかできない

やたらと主人公が「ウソだろ…」と言う映画でもある
「主観」では気づきにくいが、やはり人生は「驚き」に満ちているのだな
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