しょーん

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のしょーんのレビュー・感想・評価

3.0
実在の人物をモチーフに、韓国現代史最大の悲劇とも言われる光州事件のもうひとつの真実を紐解く。事件の実情を伝えようとするドイツ人記者と、彼を乗せ、光州の中心部に入った韓国のタクシー運転手の物語。

実話を基にした話。だけど事件自体を知らなくても大丈夫。むしろ知らない人向けに作ってある映画とも言える。小学生だって理解できるくらい易しいつくり。けれど、本作を観れば間違いなくジャーナリズムの大切さが身に染みてわかる作品。

前半はコメディ風味で進んでいきながら、いざ光州につくと通行禁止のゲート、そして物々しい軍隊の検問。このあたりから映画はホラー風味のサスペンスの雰囲気が出てくる。いよいよ、デモと軍隊がぶつかり合う光景を建物の屋上から見るシーンで、本作は社会派映画の顔に変化する。さらに私服軍人に追いかけられるという、マンハントもののようなスリラー展開に急変していく映画。めまぐるしく変わるジャンルに感情が揺さぶられる。社会派映画でありながらエンタメとしての面白みもある。

キャラクター設定も絶妙。愛着が持てるように描かれていて、この点でしっかり物語が刺さるように丁寧に作られてる。

タクシーをこんなにかっこいいと思ったことはない。
しょーん

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