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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のazuのレビュー・感想・評価

4.0
いつも思う、韓国は「声」を上げることの出来る国だなあと。

たった30数年前の出来事とは思えないくらい、荒々しくて痛々しい。どこかアナログすぎるのでは、とまで感じてしまう。そう思うとあれからの韓国の成長はとんでもなく早い。

作中の表現だけでは、あの時代・あの場所で何が起こっていたかを全て図り知る事は出来ないにしても、光州の人々が声をあげて立ち上がっていたことを知るきっかけには十分なり得る作品だった。

自分の年齢もあって、私にとって目を引くのはリュ・ジュニョルを始めとする学生たちの姿。
ともすれば自分の命も、という状況で果たして自分だったら立ち上がることが出来るだろうかと悩んでしまった。学生には失うものはないんだという意味を、こんなタイミングで気づいてしまうとは。もうすぐ学生終わるのに。

この作品を踏まえて、早く1987が見たい。

追記:日本公開に伴ってもう一度鑑賞。
国(軍)が国民に向けて銃を向ける異常さ・脅威。立ち向かう市民は特に私と変わらない「普通の市民」だったということ、犠牲になっていった人たちも何も罪のない「普通の市民」だったということ…。私のような若い世代にとって韓国はカルチャーに富んだ姿にしか映らないかもしれないけど、この姿を得るまでにどれだけの人が声をあげて、どれだけの人の声が消されていったのかを知らなければいけないのではと。民主主義というものを自分たちの力で手に入れていく韓国の姿には学ぶべきことがあるとつくづく思う。
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