デロング

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のデロングのレビュー・感想・評価

4.1
韓国がまだ軍事政権だった1980年、大統領暗殺を機に民主化を訴える市民と学生によるデモに対し武力行使に出た政府軍。無抵抗な市民にまで暴力や発砲し多くの犠牲者を出した韓国の歴史において最大の悲劇と言われる光州事件をドイツのジャーナリストと彼を光州まで乗せたタクシー運転手という第三者、一般市民の目から描いた作品。

前半はコメディーだったのか?と間違えてしまうほど、タクシー運転手役のソン・ガンホのコミカルで人情味溢れる演技に笑えて楽しい雰囲気に包まれていましたが、舞台がソウルから光州に移ると空気が一変します。

光州事件の恐ろしさと悲惨さを目にし、この事件を世界に伝えようとする者、一切の情報漏れを許さない政府軍とのドキドキな展開に手に汗握ります。『デトロイト』に『ペンタゴン・ペーパーズ』を足した様な感じです。

辛く悲しい事件ではあるものの、重苦しいだけじゃなく、仲間や正義といった映画としてのエンタメ性も十分あるので感動することも間違いなしです。
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