「もう少し静かだったら、皆も静かにしてたら、何か分かるかもしれない」
1990年に公開されたフェリーニの遺作。
単純明快なストーリー・プロットがあるわけではないので、多様な解釈ができる作品。
随所に登場する月は、〈女性〉や〈未知〉のイメージと重なり合う。
街にはあらゆるものが溢れ、望むものは(お金さえあれば)何でも手にすることができるようになった時代。〈分からない〉ものに心を傾け、〈静寂〉に耳を澄ませることの大切さに気付かされた。
群衆の中のひとりの男の叫びは、フェリーニの最後のメッセージだったのかもしれない。
「私はこの世に何をしなの来たのか。なぜ我々は生まれたのか。今ここで知りたいんだ。私はこの世で何をするのか」